Oracle Database 19c から Standard Edition 2で「Oracle RAC」利用ができなくなりました。そのRACの後継ソシューションとして提供が開始された「Oracle Standard Editon High Availability(以下Oracle SEHA)」の概要や制限事項等による注意点について解説します。
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Oracle SEHA の概要
Oracle SEHA は、Oracle Grid Infrastructure に標準装備された、Oracle Database に対する高可用性(HA)機能です。Oracle Database 19.7、および Oracle Grid Infrastructure 19.7以降のバージョンから使用でき、SE2ライセンスを持っていれば無償で使用できます。
2台のノードをクラスタ化することで構成され、データベースの可用性を高めます。基本的な機能としては、①フェイルオーバー、➁正常時の監視、➂リソース管理があります。
※Oracle SEHAの機能について詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてお読みください。
Oracle SEHAの6つの注意点
Oracle SEHA には、環境、構成、バージョンなどいくつかの要件や制限事項があり、利用の際には注意が必要です。
1. 初期の19cリリース(19.3~19.6)では使用不可
Oracle SEHA は、19cのリリース後に発表されたため、19cの初期リリースでは使用できません。通常、インストールメディアに含まれるのは19.3相当であるため、19.7以降のRU(パッチ)を適用する必要があります。
2. パブリッククラウドに非対応(2022年8月現在)
Oracle SEHA の対応環境は、現状はパブリッククラウドに対応しておらず、オンプレミスおよび仮想環境のみとなっています。※Oracle社が提供するパブリッククラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」でも現時点で未対応。
今後パブリッククラウドへ移行をお考えの場合は、以下のいずれかのソリューションを活用すれば、Oracle Database のクラウド環境でのHA構成を使用することが可能になります。
《パブリッククラウドでHA構成を組む方法》
- 3rd Partyクラスタリングソフトウェアを使用したHA構成(例: LifeKeeper+DataKeeper )
- クラウド独自の高可用性構成対応DBaaS(例: Amazon RDS for Oracle )
- DR構成など、その他のパブリッククラウドで使用可能なHA構成
3. 共有ディスクが必須
Oracle ASMおよびACFS上にファイルを配置するため共有ディスクが必須です。クラウド環境で実績の多いデータレプリケーション構成では使用できません。
4. Oracle DB以外のアプリケーションのHA化はユーザ責任で行う必要がある
Oracle SEHA のHA化対象は、Oracle Database のみです。実際にはアプリケーションやミドルウェアもHA化が必要で、それらをHA化するにはユーザ側で対象のアプリケーション、ミドルウェア用にカスタムリソースを実装する必要があります。その場合、監視用スクリプト作成の経験や知識が求められ、設計・実装・試験の工数増加に加え、不具合が起きた場合にサポートが受けられないなどのリスクも発生します。
5. GUIベースの管理作業が行えない
Oracle SEHAは、現時点でGUIベースでの作業が行えません。Oracle Grid Infrastructure の使用経験が少ない方には、難易度が高くなります。
6. 障害検知や回復の時間/回数などのカスタマイズが不可
Oracle SEHAは、障害検知や回復の時間・回数などをカスタマイズすることができません。顧客からの要望や社内のルール等で回復時間や回数の指定があるなど、柔軟性が必要とされる場合には注意が必要です。
このような6つの注意点を念頭に置いてご検討いただくと間違いないかと思います。将来AzureやAWSなどのパブリッククラウドへ移行する可能性がある場合には、そのまま使用できなくなりますので、今後のリプレース予定とも合わせて検討することをおすすめします。
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この資料はこんな方におすすめ💡
・SE RAC から Oracle SEHA への切り替えをご検討中の方
・Oracle SEHA を検討したが、要件に合わず代替ソリューションを探している方
・今後、可用性はそのままで Oracle DB をクラウドに移行したい方