Oracle SE2 RAC ユーザー必見!既存ライセンスのまま 19c に移行する方法とは?

    Oracle SEHAの記事の通り、Oracle SE2 がバージョン 19cから RACをサポートしなくなったことが Oracle SE2 ユーザーに大きな影響を及ぼしています。

    今回は、日本ヒューレット・パッカード合同会社(以下 HPE) プリセールスエンジニアリング統括本部 シニアITスペシャリストの小森 博之氏に、Oracle SE2 ユーザーが抱えている課題とその解決策についてお話を伺いました。

    日本ヒューレット・パッカード合同会社
    プリセールスエンジニアリング統括本部
    シニアITスペシャリスト 小森 博之氏

     

    ━ 最初に小森様の役割について教えてください。

    小森氏:
    お客様への提案をエンジニアの立場から考えるプリセールスエンジニアリング統括本部という部署に所属しています。弊社ではソリューションの専門知識をベースに提案を実施するために各ソリューションのエキスパートを置いており、私は Oracle Database Microsoft SQL Server などデータベースソリューションを担当しています。

     

    Oracle SE2 RACの既存ユーザーが抱える課題

    ━ では、日頃 Oracle Database ユーザーへの提案を実施している中、ユーザーの状況についてはどのように感じていますでしょうか?

    小森氏:
    非常にユーザーの多い 11.2.0.4が2020末で Extended Support を終了しました。12.1.0.2も2022年の3月末には同じくExtended Support を終了しますExtended Support が終了すると、セキュリティアップデートを含む新規のパッチが提供されなくなりますので、お客様はサポート期間の長いバージョンへのバージョンアップを検討されています。各バージョンのサポート期間を見ると、バージョンアップ先は 19c しかないという状況です。

    このような状況で、19c からSE2 RAC が使えなくなりましたので、現在 SE2 RAC を使用しているお客様は非常に困った状況にあります。

    ━ サイオステクノロジーにも同じ課題を持つお客様からたくさん相談をいただいています。HPE様としては SE2 RAC ユーザーはどのような対応をするのがよいとお考えでしょうか?

    小森氏:
    Oracle
    社は、2種類の提案をしているようです。

    1つはRACを使い続けるために Enterprise Edition に移行するというもの。ですが、これはライセンスコストが大幅に上がりますので、現実的な選択肢ではないと思っています。

    もう一つが RAC をやめてシングルインスタンスに移行すること。その場合可用性をどのように確保するのかが問題になりますが解決策はありますので、こちらが現実的な対応だと考えています。RAC に代わる可用性を確保する方法を検討しつつ、新しいインフラの在り方を考えていくというのがお勧めの方法です。

    これで解決!19c にバージョンアップするために、最適なインフラとは?

     ━ 新しいインフラの検討というとクラウド含めて検討することが多いと思いますが、具体的にはどのような選択肢があるのでしょうか?

    小森氏:
    Oracle Database
    に関しては、パブリッククラウドはライセンス的に不利な状況にあります。パブリッククラウドではコア係数が適用されません。SE2に関しては、パブリッククラウドの 4vCPU 1プロセッサーライセンスとカウントされてしまいます。物理サーバーでは使用できるCPUコアが最大 16という制限と比べると、パブリッククラウドでのSE2の使用はかなり不利になります。

    オンプレミスでの環境だと、仮想化するかしないかが問題となります。これはよく知られているように、Oracle Database を仮想化環境で使用するとライセンスが物理サーバー全体のコア数分必要だとか、仮想ゲストが移動可能な仮想サーバー含めてライセンスが必要になりますので、これもライセンスの観点から現実的ではないと考えます。

    結果的に残る選択肢はオンプレミスの物理サーバーです。

     ━ クラウドや仮想環境での迅速な展開や柔軟な運用に期待をお持ちのお客様も多いのですが、あきらめるしかないということでしょうか?

    小森氏:
    そのようなお客様にお勧めしているのが HPE Synergy です。コンポーザブルインフラストラクチャと呼ばれる、ブレード型のサーバーとストレージ、ネットワークファブリックを組み合わせた製品で、物理環境も仮想環境も Rest APIを使って管理できるようになっています。

    Oracle Database はライセンスの問題があって物理サーバーにせざるを得ませんが、アプリケーションサーバーなど周辺のサーバーは仮想化・コンテナ化するのが効率的です。しかし、運用管理者の方々は物理・仮想・コンテナの環境も管理していかなければなりません。HPE Synergy ならそれらを一つの HPE Synergyシステム上に構築でき、環境の違いを意識せずに新しい環境の展開や管理を実施できます。Oracle Database を物理サーバーにし、関連するシステムを仮想環境にして組み合わせて使うシステムに非常に適していると考えています。

    特に最近はコンテナと自動化を使って迅速にシステムを展開するアジャイル開発が脚光を浴びています。一方でデータベースサーバーは極力変更を行わず安定した運用をすることが重視されます。HPE Synergy ならアジャイルなシステムと旧来型の安定志向のシステムを一つに集約して管理することができます。

     

     

    HPE SYNERGY構成図
    仮想と物理が混在する環境をスッキリ統合する HPE Synergy
    物理、仮想、コンテナ環境混在構成例

     

    物理サーバーと仮想サーバーをHPE Synergy に集約して一元管理されている事例として、寺岡精工様があります。以下で事例を参照できますので、是非ご覧ください。

    >> 株式会社寺岡精工様の事例はこちらから <<

    また、月額課金や容易にリソースを追加できるというパブリッククラウドの特徴を利用したいというお客様には、HPE GreenLake という提供方法をご提案しています。HPE Synergy を従量制の月額課金で使っていただくことが可能です。

    ━ お勧めのHPE Synergy についてもう少し詳しく教えていただけますでしょうか?

    小森氏:
    HPE Synergy はフレームにサーバー、ストレージ、ネットワークファブリックを搭載でき、HPE OneViewソフトウェアから一元管理できます。サーバー、ストレージ、ネットワークごとに監視・管理方法を変える必要がありません。事前にワークロードに応じた物理構成、OSの選択、ネットワークの割り当てなどをプロファイルとして登録しておくことで、簡単に新しい環境を展開することができます。物理サーバーを増設する際にも、配線をする必要がなくブレードを追加するだけというブレード型の利点を受け継いでいますし、増設後もプロファイルを指定するだけでセットアップを容易に実行できます。また、HPE OneView からは RESTful API を使って管理できますので、クラウドのようなソフトウェアによるインフラのコントロールを実現できます。

     

    プロファイル管理でシンプルな運用
    プロファイル管理でシンプルな運用

     

    HPE Synergy は最新の第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーに対応していますし、サーバー間のネットワーク帯域は50Gbpsまで利用可能ですので性能的にも優れています。

    Oracle Database の可用性の課題と解決方法

     Oracle Database 向けのインフラは HPE Synergy で課題を解決できるということは、残る課題は Oracle Database の可用性をどのように確保するかです。お勧めの方式などありますでしょうか? 

     小森氏:
    RAC
    が使えないので可用性の確保はアクティブ/スタンバイ型の方式になります。世の中にはいくつかの選択肢がありますが、御社の LifeKeeper が非常に適したソリューションだと考えています。

    実績が豊富だということももちろんですが、共有ディスク構成と、DataKeeper を使ったディスクミラーの非共有ディスク構成の両方に対応しているのがうれしいです。共有ディスク構成だとどうしてもハードウェア構成の制限を受けてしまうことがありますし、管理も複雑になりがちです。共有ディスクを使わずにデータベースの可用性が確保できると、構成の選択肢が広がります。

    また LifeKeeper なら Oracle Database 以外にも多くのアプリケーションに対応しています。データベースだけでなく同じサーバーでアプリケーションサーバーやジョブ管理ソフトウェアなども含めて LifeKeeper で障害時の切り替えができることも大きな利点です。

     HPE Synergy と併せて LifeKeeper を使うことで、柔軟な管理とシンプルな運用を実現するOracle Database向けの基盤を作ることができます。Oracle SE2 RACをご使用中のユーザーには是非ともご検討いただければと思います。

    ━ これなら Oracle SE2 RAC ユーザ様の19c への移行時の課題が解決できそうですね。小森様本日はどうもありがとうございました!

     

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