これまでLinux版のみが提供されていたQuick Service Protection(QSP)が、8月23日にLifeKeeper for Windows v8.9.2の追加サポートとなりました。
今回はこのリリース間もない「QSP」について、そもそもどんなものなのか、入手方法やQSPでのリソース作成方法をご紹介いたします。
Application Recovry Kit(ARK)
LifeKeeper for Windowsでアプリケーションリソースとして保護する際にApplication Recovry Kit(ARK) を使用することで、スクリプトの開発をすることなくリソースの登録が可能です。ARKはLifeKeeper のオプションとして提供しており、スクリプトの内容を含めてサポートを付与して提供しています。現在以下のアプリケーションに対して提供されています。
- SQL Server
- Oracle DB
- PostgreSQL Server
- IIS(Web Server, FTP Server, SMTP Server)
- HULFT
- Generic ARK for JP1/AJS3 Manager
- Generic ARK for JP1/AJS3 Agent
上記以外のアプリケーションを保護する場合、アプリケーションの挙動に合わせて、起動スクリプト、停止スクリプト、監視スクリプト(オプション)、回復スクリプト(オプション)の作成が必要です。
LifeKeeperでは、ARKのないアプリケーションを保護(管理)するために以下の4つのスクリプトを作成します。
起動スクリプト(restore) | アプリケーションを起動する |
停止スクリプト(remove) | アプリケーションを停止する |
監視スクリプト(quickCheck)*1 | アプリケーションが正常かどうか監視を行う(オプション) |
回復スクリプト(recover)*1 | 監視処理で異常を検出した場合、実行してアプリケーションのリカバリーを行う(オプション) |
*1 スクリプトは任意での組み込み。restore, remove スクリプトだけでリソース作成は可能。
上記のスクリプトをLifeKeeper のオプションであるGeneric ARK(汎用アプリケーション)を使用することで、リカバリーキットのないアプリケーションの保護が可能です。
Quick Service Protection(QSP)とは
今回リリースとなったQuick Service Protection(QSP)は、Microsoft Windows サービスで管理されるアプリケーションを、起動、停止、ステータス監視、再起動をスクリプトとしてGUI画面から操作し、リソースとして登録することが可能なフレームワークとなります。
そのため、スクリプトの開発を行うことなく、LifeKeeper GUIのプルダウンメニューから選択することで、Microsoft Windows サービスで管理を行うアプリケーションをリソースとして登録することが可能です。
なお、Microsoft Windows サービスで管理されていないアプリケーションについては、Generic ARKを使用してスクリプトを開発して組み込む必要があります。
QSPパッケージの入手とインストール
LifeKeeper for Windows v8.9.2でQSPを利用する場合、パッケージの追加インストールが必要です。パッケージの入手方法は以下に詳細がございます。
Quick Service Protection for SPS-Windows v8.9.2 リリースのお知らせ
パッケージの入手にはユーザーポータルへのサインインが必要です。ID登録されていない方は、事前にID登録を行ってください。
申請を行いますと以下のアーカイブファイルが送られてきます。
QuickServiceProtection_for_sps-w_v892.zip |
zipファイルを展開して、以下の実行ファイルをLifeKeeper の各クラスターノードにアップロードします。
LKQSP-8.9.2-Setup.exe |
各ノードでLKQSP-8.9.2-Setup.exe ファイルを実行して、インストールウィザードに従いインストールを進めてください。
QSPによるリソース作成手順
QSPが追加されたら、LifeKeeper GUIを起動してください。「リソース階層の作成」をクリックしてください。
リソース階層の作成用ウィザードが起動します。プライマリーサーバーとバックアップサーバーを選択して「次へ」を選択します
保護するアプリケーションのメニューから、「Generic Quick Service Protection」が選択可能になっています。選択できない場合はQSPパッケージのインストールに失敗していますので、再度インストールを行ってください。
「Generic Quick Service Protection」を選択して進めると、Windowsサービスにあるサービス一覧がプルダウンメニューから選択可能となっています。こちらで保護するサービスを選択してください。今回は、MySQL Serverを例に進めます。
作成するリソースのクイックチェック間隔を設定します。初期値は300秒なのですが、他のリソースに合わせて180秒とします。
起動間隔(秒)を設定できます。Windowsサービスの起動時に許容する時間を設定します。設定値を超えてもサービスが”実行中”ステータスとならない場合は起動に失敗と判断します。以下のように”0”と設定した場合は、サービスが実行中となるまで時間を許容します。
シャットダウン間隔(秒)を設定できます。Windowsサービスの停止時に許容する時間を設定します。設定値を超えてもサービスが”停止”ステータスとならない場合は停止に失敗と判断します。以下のように”0”と設定した場合は、サービスが停止するまで時間を許容します。
ローカルリカバリーの有効化/無効化を選択します。有効を選択すると、サービスで障害を検出した際に1回だけローカルサーバーでのリカバリーが行えます。
リソースタグ名を任意で設定できます。GUIに表示されるため保護するサービス名を入れておきましょう。
リソースが作成されます。作成に成功すると「次へ」が選択可能となります。
続いて、バックアップサーバーに設定を拡張します。バックアップサーバーにQSPのリソース拡張がかのうかどうかチェックを行います。問題なければ「次へ」が選択可能となります。
リソースタグ名が表示されます。このまま進めます。
リソースの優先順位を選択します。優先順位は1が最高位の優先順位となります。3ノード以上の場合、この優先順位に従いフェイルオーバー時の切り替え先ノードを決定します。2ノード構成ではバックアップサーバーにプライマリーサーバーより低い値を設定しますので、初期値の10で進めます。
拡張が行われます。拡張に成功した場合は「終了」が選択可能となります。
リソースの作成が完了しますと、以下のように新しいリソースが追加されます。
IPリソースやボリュームリソースのツリー構成に組み込む場合、依存関係の作成を行ってください。
QSPによって登録されたサービスは自動的にスタートアップの種類が「手動」に変更されます。リソースの保護から外す場合、リソースを削除しても手動のままなので、Windowsサービスメニューから「自動」に変更してください。
まとめ
QSPをご利用いただく事で、これまでARKとして提供をしていなかったアプリケーションも容易にLifeKeeper for Windows の保護対象とすることが可能となりました。スクリプト開発にかかるコストを抑えることも可能と考えられます。是非ご検討ください。
参考資料
Quick Service Protection ARK ドキュメンテーション