可用性と信頼性・保守性の違いは?システムの評価指標「RASIS」を解説

    デジタルトランスフォーメーションの推進において注目されているのが「可用性」という考え方。

    この記事では可用性の言葉の意味や、類似する用語の意味、可用性との違い、システムの評価指標「RASIS」について解説します。

    可用性(Availability)の定義

    可用性とは、システムが障害などにより停止することなく稼働し続けることを指します。

    可用性は、クラウドの急激な市場拡大によって、クラウド利用のメリットのひとつとして重要視されていますが、そもそも、情報セキュリティの3要素「Confidentiality(機密性)」・「Integrity(保全性)」・「Availability(可用性)」の中の1つとして位置づけられているものです。

    また、システムの可用性を判断する指標となるのが「稼働率」です。稼働率は、一定時間のうち、システムが稼働可能な時間の割合を「%」で表します。たとえば、10時間システムを稼働し続けようとした場合、実際に稼働したのが6時間で、残りの4時間は停止していたのであれば、稼働率は60%ということになります。

    可用性と信頼性の違い。

    「可用性」に似た意味を持つ言葉として「信頼性」があります。可用性と信頼性は、ともにRASISという指標におけるひとつの要素です。 以下、混同されがちな「可用性」と「信頼性」の違いを、その他の要素とともに解説します。

    RASISとは

    RASISとは、コンピューターシステムやソフトウェアの品質を評価する5つの指標の頭文字をとった用語で、「レイシス」または「ラシス」と読みます。 システムやソフトウェアが安定して期待した通りに稼働しているか否かを判断する指標です。

    Rは、「Reliability」で、信頼性を指します。RASISのAは「Availability」で可用性、Sは「Serviceability」で保守性、Iは「Integrity」で保全性、最後のSは「Security」で安全性や機密性を指しています。利用するシステムやソフトウェアの目的によって、これら5つの中でどれを重要視するのか、バランスが変わってきますが、どれもコンピューターシステムの安定性運用においては欠かせない要素といえます。ここからは5つの指標についてそれぞれ解説していきます。

    信頼性

    信頼性は、システムの壊れにくさを評価する指標です。システムにおいてハードウェア、ソフトウェアともに障害や不具合をゼロにすることはできません。しかし、障害や不具合による停止や性能低下を最小限に減らすことは可能です。信頼性は、システムが安定稼働し続ける平均時間である平均故障間隔、MTBF(Mean Time Between Failure(s))を指標として判断します。システムの平均故障間隔が長ければ長いほど、信頼性は高くなるのです。

    信頼性は可用性と近しい関係にあります。信頼性が高ければ、一度故障が発生したとして、次に故障するまでの間隔が長くなるため、システムが停止する回数も少なくて済み、高可用性につながります。信頼性はシステムが「どれだけ壊れにくいか」ということであり、可用性は、システムが稼働している状態を「どれくらい維持できるか」ということですので、相互関係にあります。

    可用性

    前述の通り、可用性とは、システムの継続稼働ができることを指します。

    システムやサービスが使えなくなってしまう事態が発生する頻度が少なく、長時間システム稼働し続けられることを「高可用性(High Availability)」と呼び、システムやサービスを提供する事業者には高可用性の実現が求められます。

    保守性

    保守性は、システムがどれくらい容易にその機能や性能を維持できるかを示します。ハードウェアの場合は、普段定期的に行われるメンテナンスや修理の容易さ、ソフトウェアの場合は、不具合が発生したときの修正のしやすさや、予定されている仕様変更、追加機能の容易さ、ソースコードの読みやすさなどがポイントです。RASISにおいて保守性の評価基準となるのが「サービスの停止時間」。障害やメンテナンスによってサービスが停止したとしても、原因の追及やシステムの変更・修正がしやすく、サービスを再開するまでの時間が短いシステムは、保守性が高いと評価できます。また、保守性が高ければ、短期間で復旧できるため、稼働率が上がり、高可用性にも繋がります。

    保全性

    保全性は、システムの活用用途によって意味が異なります。情報処理や電気通信の分野においては、データが全て揃っていて、欠損や不整合などがないことを示します。そして、情報セキュリティの分野においてはデータの妥当性に注目します悪意ある改変や攻撃はもちろんのこと、事故によって障害が発生したとしても、データが欠損なく正しく保存され、さまざまな処理が実行できるようになっていることが重要です。例えば、誤ってデータを削除してしまったとしても、バックアップを定期的に実行することによって、元の状態に復旧できるようにすることは保全性の基本的な考え方です。データが正しく保全されていることは高可用性にも繋がりますます。

    安全性(機密性)

    安全性は、システムにおいて利用されているデータに対し常に高いセキュリティを維持することです。ビックデータなどの利用が拡大するにつれて、システムが扱うデータも多くなっています。そうしたなかで、どのようにデータを安全に保持しておくかは重要なファクター。故意に行われる外部からの不正侵入や、データやプログラムの改ざん、それによるデータの漏えいなどの脅威から情報を守るだけでなく、事故を未然に防ぐために事前に対策をとっておくことが重要視されます。データの安全性を確保することは、高可用性を維持するうえでも重要な条件と言えます。

    高可用性と信頼性を実現する方法

    ハードウェアやソフトウェアを含むシステム全体を快適に運用させるには、システムが正しく構築され、安定的な稼働時間で運用され続ける必要があります。そのためには、システムにはRASISの5つの要素において高いレベルを維持することが大切です。

    高可用性を実現することで、システムの価値は高まり、機会損失を最小限に抑えた運用が可能です。しかしその一方で、より高い可用性を求めれば求めるほど、システム運用や環境構築には費用が掛かってしまうもの。そこで、コストを抑えながら高可用性を叶える選択肢として有効なのが、OSS(オープンソースソフトウェア)のHAクラスタソフトウェア「Pacemaker(ペースメーカー)」です。

    Pacemaker(OSS)のメリットとデメリットについては以下の記事で解説しておりますので、こちらをご確認ください。

    オープンソースHAクラスタソフト「Pacemaker」 OSSならではのメリット/デメリットを解説

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