※この記事は翻訳されたものです。本記事の原文はこちら
SIOS Technology カスタマーエクスペリエンス担当バイスプレジデント Cassius Rhue
世の中の動きを知らずにいた人や時が止まっていた人でない限り、現在、雇用者と従業員が「大量離職時代」にあるということを、何らかの媒体で目にしたことがあるのではないでしょうか。US News and World Reportによると、「アメリカ合衆国労働統計局によると、2021年7月に400万人のアメリカ人が仕事を辞め、その傾向は衰えていない」ということです。
会社の規模や現在の収入に関係なく、そしてまだ影響がないとしても、この傾向は近い将来、ITチームにも影響を与えることになるでしょう。ですから、心に刻んでください。ミッションクリティカルなアプリケーションの可用性を担保する責任を負う同じチームが、何らかの形で「大量離職時代」の影響に対して脆弱なのです。
では、警告のサインに気づき、現実と折り合いをつけ、重要なアプリケーションに「大災害」を引き起こさないよう、「大量離職時代」を共感と明晰さを持って乗り切るにはどうすればいいのでしょうか。この記事では、変化の渦中にあっても健全な高可用性(HA)のベストプラクティスを実現するための、技術的なヒントと非技術的なヒントをご紹介します。
1.辞めない
とにかく、辞めないでください。同僚や優秀な人材が転職やキャリアアップ、あるいは離職を選択する中、辞めたいと思うこともあるでしょう。特に、ただでさえ多い仕事をさらに少ない人数でこなすことを考えると、なおさらです。でも、どうか辞めないでください。
2.高可用性に対する主なリスクを特定する
このリスクを特定する作業には2つの面があります。誰かが退職した後、チームはさらなる人事異動のリスクにさらされます。しかし、キャパシティ、技術的な知識、専門知識の喪失により、HAもまたリスクにさらされることになります。チームメンバーの退職に伴う予期せぬダウンタイムを防ぐには、主なリスク領域を特定する必要があり、技術的なリスクには、次のようなものがあります。
- クラウドの専門知識とナレッジ
- データベース管理
- ストレージの管理と構成
- 言語化されていないHA製品知識
- 緊急時の対応(人員配置)
- 技術的リーダーシップ
- ドキュメント整備
3.マネージャーは自社を評価する
同僚たちが会社を辞めても、「自分はそんなことはしない!」と言うのは簡単です。私たちは、彼らがなぜ離職、辞職、あるいは別のキャリアや仕事を選ぶに至ったのか、そのすべての理由の注目しがちです。退職の理由は全く個人的なものである可能性が高いのですが、問題は彼らの側ではなく、私たちの側にある場合もあります。彼らに問題があるのか、それともあなたに問題があるのかを見極めることが、なぜHAにとって重要なのでしょうか?
例えば、会社のミッション、ビジョン、HAやITに関する文化、ITおよびHAシステム管理のための雇用と人員配置の問題など、もし会社に問題がある場合、単に人員を追加するだけでは、一時的な解決にしかならないでしょう。さらに、問題解決よりも責任転嫁に重点が置かれるため、チームの士気やコミットメント、知識の伝達がさらに損なわれる危険性があります。
4.チームリーダーはチームを評価する
過去2年の間に、ほとんどすべての会社で、誰かが退職しています。より高い報酬を求めたのか、家族の介護のために家にいなければならないのか、定年退職なのか、他の可能性を追求するためなのか、理由はどうあれ、彼らは退職しました。チームメンバーを失った場合、残されたチームを評価することが不可欠です。評価は、技術的な面と非技術的な面の両方に対して行います。技術的には、次のことを行う必要があります。
1)現在のスキル、能力、不足している知識を特定する
チームにはどのようなスキルが残っていて、技術的な専門知識や能力のレベルはどの程度ですか?特に、理論と実践の間のどこで知識が不足していますか?
2)今ある役割と不足している役割の両方を理解する
チームメンバーの多くは、複数の役割と責任を担っていることがあります。そのため、チームメンバーが1人いなくなると、複数の役割と責任をカバーできなくなる場合があります。
3)緊急のトレーニングや補強の必要性を評価する
対応する人はいるけれども、チームを安定させ、強固にするための追加トレーニングが必要な分野はどこでしょうか?また、カバーしきれない部分は、今いる人材に対してトレーニングを実施したり、何らかの形でプロフェッショナルサービスを契約したりすることで対応できるでしょうか?
私はカスタマーエクスペリエンス担当バイスプレジデントとして、実際にこのようなことを見てきました。私たちのチームは最近、HA環境を担当していた主要なチームメンバーを失い、プロフェッショナルサービスを必要としている企業と仕事をしたのです。また、技術的なこと以外で、以下も行う必要があります。
4)残されたメンバーの気持ちを理解する
新型コロナウイルスの大流行や「大量離職時代」が始まる前から、多くのチームが息も絶え絶えでした。24時間365日休みなしのHAの世界には、通常のチームの人数、規範、タスクで行うべきことがたくさんあります。もし皆さんのチームが影響を受けたなら、残っているチームメンバーの話を聞くことは、本番サーバーがダウンしていないか確認するのと同じくらい重要なことです。
誰が疲弊しているか、燃え尽きているか、混乱しているか、倒れそうになっているか、逆に、生き生きとしていて新しい挑戦の準備ができているのは誰かを確認しましょう。言語的、非言語的な合図を見逃さないようにし、共感してください(単に同僚を失ったというだけでなく、彼らの感情、懸念、恐怖にも耳を傾けてください)。
5)残ったメンバーが退職しなかった理由を把握する
チームメンバーがどのように感じているかを知ることは、技術的にも非技術的にも必要なことですが、それと同じくらい重要なのが、彼らが残っている理由を確認することです。もちろん、中には驚くような理由もあるかもしれません。
作家であり講演者でもあるCarey Nieuwhof氏は、チームメンバーの中には、「最初に辞めなかったから辞めにくい」ために留まっている人もいると述べています。チームメンバーが留まるその他の理由は意外ではないかもしれませんが、快適さ、機会、給与、勤務地、ストックオプション、情熱、チームワーク、文化など、どのような理由であれ、チームメンバーが留まる理由は重要なのです。
6)人手不足の影響を評価する
先に述べた人手不足には、スキル不足の評価など、技術的な要素があることは明らかです。しかし、人手不足の技術的評価には、それに付随する非技術的なものもあります。 たとえ一時的であっても、人手不足が残されたメンバーの精神的、感情的、個人的な健康に与える影響を確認し、評価するようにしてください。
私がマネージャーになって間もない頃、チーム内で人員削減が行われ、何人かの社員が精神的に弱り、疲れ果ててしまったことがありました。その結果、疲労が蓄積して頭がボーっとし、チームメンバーによるミスが増加しました。
人手不足でチームが精神的にも肉体的にも大きな影響を受けると、HAへのリスクが高まる可能性があります。チームは不足を補おうと必死になり、退職したリーダーやチームメンバーをカバーするために素早くまとまるかもしれませんが、残った人たちが疲れ果てていないか、追い詰められていないか、退職する危険性がないかどうかを確認することが非常に重要です。
5.重要な技術的タスク、優先順位の特定と責任の分担
数年前、ある幹部が会社を去りました。1年近くかけて彼の役割や仕事を移行してきたにもかかわらず、残されたスタッフが驚くような役割や仕事が残っていました。退職者が相次ぐ今日、1年間も移行期間を確保することはできません。さらに、もしあなたのチームで複数の人が退職しているならば、おそらく最初の人の仕事の分析と移行が完了していないでしょうから、最も重要なタスクを特定し、優先順位を付け、責任を割り当てることがとても重要になります。
セキュリティスキャン、アップデート、メンテナンス、バックアップ、テスト、新規アプリケーションの導入、コスト分析、イメージの複製と再デプロイ、パッチ適用、脆弱性の修復などのタスクをリストアップしてください。これらのタスクは人が減っても必要なものであり、放っておくと壊滅的な影響を与える可能性があります。
6.保守・運用の短期計画を立てる
タスク、役割、責任をきちんと割り振り、重要な問題にも対処する必要があります。計画外のダウンタイムの発生は、スタッフを再構築し、残っている人材を訓練し、大辞職による移行や変化に対応できるように会社を整備するまで待ってくれるわけではないからです。
短期間でうまく乗り切るには、スマートで現実的に達成可能な短期計画を策定する必要があります。この計画では、保守と運用を継続できるように、手順、タスク、プロセスを明確化してマッピングする必要があります。さらに、来るべき激動の時期に、既存の重要なインフラのポリシーはどうすればきちんと管理できるかを定義する必要があります。
7.未来に焦点を当てる
現在のチームの評価、主なリスクの特定、移行計画の策定が完了したら、次のステップは未来に焦点を当てることです。まだやるべきことがあるのです。 高可用性を必要とする重要なアプリケーションがあり、保護し、マイニングし、複製し、ビジネスに利用する必要があるデータも存在します。将来のための計画を立てましょう。
- 役割と責任の構築
- アーキテクチャとドキュメントの更新
- 成長・連携の機会の評価
- オンボーディングの時間を含む、新規採用の計画
- オンボーディング資料の作成と更新への時間とリソースの割り当て
- チームの健康への注力
- 短期的なリスク軽減策の適用と長期計画の策定
さいごに
「大量離職時代」のすべてが、皆さんのチームやHAにとって悪いニュースというわけではありません。 チームメンバーが新しい、あるいは別のポジションや機会に向かって去っていく中で、評価で得られたすべての情報を、成長と連携、より良いHAの未来のためのツールに変えるという、本当に貴重な機会を得ているのです。この明るい未来を築くには、必要な職務、役割、スキルを定義し、アーキテクチャと設計をアップデートし、新規雇用とサービス契約の計画を立て、より健全なチーム作りに注力することが必要です。
このテーマについては、最近のTFirのインタビューで詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。