【インタビュー記事】AI時代のサイバー攻撃から企業データを守る統合バックアップソリューション ~Arcserve Japan様に聞く「Arcserve UDP」の最新動向~

    こんにちは、LifeKeeperマーケティング担当の石部です。

    生成AIを悪用したビジネスメール詐欺(BEC)攻撃が前年比35%増加※するなど、急速に進化するサイバー攻撃に対して、企業はどのようにデータ保護およびシステム継続を実現すればよいのでしょうか。

    今回は国内市場シェアNo.1の統合バックアップソリューション「Arcserve Unified Data Protection(以下 Arcserve UDP)」と、サイオステクノロジーが提供する高可用性クラスタリングソフトウェア「LifeKeeper」を組み合わせた構成について arcserve Japan 合同会社(以下 Arcserve Japan)様への取材をもとにご紹介します。

    ※出典:PR TIMESArcserve CEO クリス・バベル来日取材会」事後レポートhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000059210.html

     サイバー攻撃激化とデータ保護の必要性

    ——まずは御社について概要をお聞かせいただけますでしょうか。(サイオステクノロジー:石部)

    マーケティング部 マーケティングディレクター 平野祐司氏
    マーケティング部
    マーケティングディレクター
    平野祐司 氏

    「Arcserve Japanは企業や自治体に対して、様々なデータ保護・復旧のソリューションを提供しています。Arcserveの主力製品である統合型データ保護ソリューション『Arcserve UDP』は、TOPIX500の68.5%の企業(※)に導入され、日本国内バックアップ市場ではシェアNo.1を誇ります。

    また、Arcserve UDPの拡張サービスとして、独自のクラウドサービスであるArcserve UDP Cloud Hybridや、バックアップ専用アプライアンスサーバーであるArcserve UDP Applianceを提供しています。このようなソリューションを提供することによって、サイバー攻撃によるデータの破損から大切な情報を守り、迅速な復旧を支援することで日本企業の成長に貢献しています。」(Arcserve Japan:平野氏)

    (※)出典: 2024年1月 Arcserve Japan調べ。銘柄名に「ホールディングス」「グループ」「カンパニー」が含まれるものについては、当該会社のホームページに掲載されているグループ会社での導入実績を含む。

    ——最近のサイバー攻撃の状況について教えていただけますか。特に日本企業への影響はいかがでしょうか。(サイオステクノロジー:石部)

    「近年、生成AIの台頭により攻撃者の手口がさらに巧妙化し、ランサムウェアやBECなどのサイバー攻撃が急増しています。日本は、従来、言語の壁が攻撃のハードルになりフィッシングメール等からの一定の防御につながっていましたが、生成AIの進化が言語のハードルを乗り越えやすくし、日本企業への攻撃も増加して感染につながり、システム停止やデータ損失によるビジネスインパクトが深刻化しています。」(Arcserve Japan:平野氏)

    ——そうした状況下で企業が取るべき対策とは何でしょうか。(サイオステクノロジー:石部)

    「感染してしまったことを想定した対策に注力することが重要になると考え、「データレジリエンス」というコンセプトを提唱しています。データレジリエンスとは、予期せぬ事態に直面した際に、データを保護、復元、維持できる能力です。単にバックアップを取るだけではなく、バックアップの複数世代の保持、バックアップ環境の保全、データのオフライン・二重化の3つの対策を行うことや、確実な復旧のための演習など、組織の『データレジリエンス』能力の向上が非常に重要になってきています。その能力向上のひとつとして最新の統合バックアップソリューション「Arcserve UDP」の動向について紹介します。」(Arcserve Japan:平野氏)

    Arcserve UDPとは?40年の実績が支える統合バックアップソリューション

    ——ありがとうございます。では、Arcserve UDPの概要について教えていただけますか。(サイオステクノロジー:石部)

    ソリューション統括部 プリンシパルコンサルタント 渡辺敬彦氏
    ソリューション統括部
    プリンシパルコンサルタント
    渡辺敬彦 氏

    「Arcserve UDP 10は、シンプルな操作性と高度な機能を兼ね備えた統合バックアップソリューションで、単一サーバの保護から大規模環境まで、物理・仮想・クラウド環境を問わず柔軟に対応できます。また、ランサムウェア対策や災害対策の機能も充実しており、企業のデータ保護ニーズを包括的に満たすソリューションです。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    ——従来のバックアップ製品とはどのような違いがあるのでしょうか。(サイオステクノロジー:石部)

    「従来の『Arcserve Backup』は、ファイル単位のバックアップ中心で復旧時の手順が複雑な点がありましたが、Arcserve UDPはディスク全体をイメージバックアップで高速に取得し、OSやアプリケーションを含むシステム全体を丸ごと復元できるため、操作性と運用性において大きなアドバンテージがあります。なお、特定用途(例:直接テープにバックアップ)のニーズには、従来型製品も引き続きご利用いただいています。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    ——Arcserve UDPはどういった企業に多く採用されているのでしょうか。(サイオステクノロジー:石部)

    「Arcserve UDPは企業規模や業界を問わず、幅広い企業で導入いただいています。また実績豊富なバックアップソリューションとして官公庁や自治体でも多く採用いただいています。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    「ありがとうございます。確かにビジネスにおいて、バックアップの必要のない業種や特定の企業規模はないですよね。」

    Arcserve UDPの主な特徴と5つのメリット

    ——では少し掘り下げて質問させてください。Arcserve UDPは、どういった特徴がある製品でしょうか。(サイオステクノロジー:石部)

    「Arcserve UDPには、主な特徴として5つのポイントがあります。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

     

     

    1. 一元管理による運用負荷の軽減

    「単一のWebベース管理コンソールから、WindowsやLinux、物理サーバ、仮想サーバ(VMware、Hyper-V、Nutanix AHV等)、クラウド環境、クライアントPCまでを一括管理できます。これにより、異なるOSやプラットフォーム間での操作の統一が実現し、管理者の工数を大幅に削減できます。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    ※Arcserve Japan様ご提供資料

    2. 増分バックアップと重複排除・圧縮機能によるデータ効率化

    ——バックアップ時のデータ容量削減についてはどのような効果がありますか?(サイオステクノロジー:石部)

    「初回のみフルバックアップし、2回目以降は増分バックアップを実行する『継続増分バックアップ』の運用と、高度な重複排除とデータ圧縮によって、バックアップデータ容量を大幅に削減します。たとえば、千葉県佐倉市では、日次バックアップ時間が7時間から5時間と約2時間短縮され、データ容量が163TBから約85%削減された実績があります。霧島酒造様の検証では、初回バックアップ後に容量が約84.4%削減されたとのお声もいただいています。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    ※Arcserve Japan様ご提供資料

    3. 高速リストアと柔軟な復旧手段

    「Arcserve UDPは、取得したイメージバックアップから物理マシンや仮想マシンの復旧を迅速に実施できる機能を持つほか、『インスタントVM』機能や『仮想スタンバイ』機能によって作成された仮想マシンを代替え機として利用し、障害発生時にわずか数分で業務システムを復旧することが可能です。これにより、復旧時間を大幅に短縮し、業務継続に貢献します。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    ※Arcserve Japan様ご提供資料

    4. 強固なランサムウェア対策

    ——ランサムウェア対策としてはどのような機能がありますか?(サイオステクノロジー:石部)

    「バックアップデータのオフライン保存や、Arcserve UDP Cloud Hybridとの連携により、ランサムウェア攻撃によるデータ改ざんを防ぐことが出来る安全なエアギャップ環境を実現します。さらに、新機能として搭載されたアシュアード セキュリティ スキャンにより、バックアップデータ内のウイルスを自動または手動で検出し、健全なバックアップデータを特定してリストアできる仕組みが強化されています。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    ※Arcserve Japan様ご提供資料

    5. クラウド連携とアプライアンス提供

    「Arcserve UDPは主要クラウド(AWS、Azure、Google Cloud)に対応しており、オンプレミスとクラウドのデータ保護を統合的に管理できます。また、Arcserve UDP Applianceとして、ハードウェア込みのオールインワン製品も提供し、導入の手軽さと運用効率の向上を実現しています。多要素認証も利用可能なため、セキュリティー面でも安心してご利用いただけます。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    Arcserve UDPが選ばれる理由 – 豊富な導入事例

    ——ありがとうございます。特徴についてもよく理解できました。では、続いて具体的な導入事例をいくつか紹介していただけますか。(サイオステクノロジー:石部)

    「Arcserve UDPは、その機能面だけではなく豊富な導入実績に裏打ちされた信頼性でもご支持いただいています。代表的な事例をいくつかご紹介します。」(Arcserve Japan:平野氏)

    ——自治体での導入事例はありますか?(サイオステクノロジー:石部)

    千葉県佐倉市

    「はい。千葉県佐倉市では、Arcserve UDP Premium Plusエディションを採用し、本庁舎とデータセンター間でバックアップデータをレプリケーションする『たすき掛け』構成を実現。これにより、日次バックアップ時間が約2時間短縮、データ容量が約85%削減されました。」(Arcserve Japan:平野氏)

    ダイハツメタル株式会社

    「工場設備のBCP対策およびセキュリティ強化を目的に、Arcserve UDPとArcserve UDP Cloud Hybridを導入。オンプレミスのバックアップデータを毎日自動でクラウドへレプリケートし、災害時にはクラウド上で迅速に基幹システムを起動できる体制を整えられました。」(Arcserve Japan:平野氏)

    霧島酒造株式会社

    ——バックアップによる業務効率化の効果はどの程度ですか?(サイオステクノロジー:石部)

    「焼酎メーカーの霧島酒造様では、Arcserve UDPへの切り替えにより、Oracleデータベースのバックアップで初回フルバックアップ後のデータ容量が約84.4%削減され、バックアップ時間も大幅短縮されました。障害時の完全復旧も約30分で実現され、運用効率の改善が確認されています。」(Arcserve Japan:平野氏)

    「ありがとうございます。いま伺っただけでも事例が豊富にあることが理解できました。」

    その他の事例は 👉 Arcserve Japan様のウェブサイト をご覧ください。

    「これらの事例は、Arcserve UDPが単なるバックアップツールではなく、データ保護と事業継続の両面を実現するトータルソリューションとして評価いただいてると捉えています。また、Arcserve Japanの日本国内サポート体制は、2023年のサポート満足度調査で93.6%が高評価をいただいています。」(Arcserve Japan:平野氏)

    Arcserve UDP 10の新機能と強化点

    ——ありがとうございます。では、最新バージョンのArcserve UDP 10では、どのような新機能が追加されたのでしょうか。(サイオステクノロジー:石部)

    「Arcserve UDP 10は、最新バージョンとして従来の機能に加え、以下の新機能を搭載し、さらなる進化を遂げました。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    Assured Security Scan(アシュアード セキュリティ スキャン)

    「バックアップ完了後またはリストア前に、バックアップデータ内のウイルススキャンを自動または手動で実行し、マルウェアを自動検出、リストアしたデータによるマルウェアの混入リスクを軽減します。Microsoft Defenderを活用し、追加コストなく最新の定義ファイルを利用した高い検査信頼性を提供します。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    アドホック仮想スタンバイ機能

    ——障害対応の柔軟性についての強化点はありますか?(サイオステクノロジー:石部)

    「必要なときに即座にバックアップデータから代替VMを起動できる機能が追加されました。事前にリソースを確保する必要がなく、緊急時に複数拠点でスタンバイVMを生成できるため、迅速かつ柔軟な障害対応が可能です。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    冗長化されたシステムにおけるバックアップやリストアの重要性

    ——高可用性システムとバックアップの関係性についてはどのようにお考えですか?(サイオステクノロジー:石部)

    「優れたバックアップ環境を整備しても、本番の業務システム自体が停止してしまっては意味がありません。システム障害の検知やRPO(目標復旧時点)を考えると、バックアップだけでは不十分なケースが多くあります。そのため多くの企業では、システムの冗長化(HAクラスター構成)を進め、システム停止時間(ダウンタイム)を最小限に抑える取り組みをしています。一方で、このように冗長化されたシステムでも迅速かつ確実にバックアップやリストアを行えることが求められます。ミッションクリティカルなシステムにおいては、バックアップと冗長化の両方が不可欠であり、どちらか一方が欠けてもビジネスの継続性を十分に担保することはできないと考えています。」(Arcserve Japan:平野氏)

    「今回の検証では、サイオステクノロジーさんのHAクラスターソリューション『LifeKeeper』で冗長化されたOracle Database環境に対して、Arcserve UDP 10 を用いたバックアップおよびリストアを実施し、問題なく動作することを確認いただきました。これにより、冗長化されたシステムにおいても、システムを停止せず確実に最新のデータを復旧できるバックアップ体制が構築可能であることを確認いただけました。」(Arcserve Japan:渡辺氏)

    冗長化+バックアップで実現する究極の事業継続体制

    Arcserve UDPによるバックアップ機能の説明を通じて、データ保護ソリューションの重要性が理解できました。ここからは、サイオステクノロジーが提供するHAクラスターソフトウェア「LifeKeeper」とArcserve UDPを組み合わせることで実現できる、より強固な事業継続体制についてご説明します。

    LifeKeeperで冗長化した本番業務システムをArcserve UDPでバックアップやリストアすることで、次の二重の安心体制を構築可能です。

    • システム自体の可用性を高め、業務継続性を確保
    • 万が一の障害発生時にも迅速に最新データへの復旧を実現

    HAクラスターとバックアップの役割の違いと両者を組み合わせる理由

    両ソリューションの連携について詳しく説明する前に、まずはHAクラスターとバックアップの基本的な役割の違いを整理しておきましょう。

    HAクラスターとバックアップの役割の違い

    バックアップの役割

    バックアップはシステム全体または個々のデータのスナップショットを定期的に取得し、災害やサイバー攻撃といった予期せぬ事態に備える仕組みです。万が一、データ破損や改ざんが発生した場合でも、過去の健全な状態へ迅速に復元が可能となり、データ保護の最後の砦として機能します。Arcserve UDPがこの役割を担います。

    HAクラスターの役割

    一方で、LifeKeeperに代表されるHAクラスターは、システム自体の高い可用性を確保します。ハードウェア障害やソフトウェア障害が発生した際に自動的にフェイルオーバー(稼働系から待機系ノードへの切り替え)を実施し、システムの継続稼働を実現します。つまり、システムが常に稼働し続ける環境を提供することに注力しています。

    なぜ両者を組み合わせる必要があるのか

    相互補完によるリスク軽減

    LifeKeeperに代表されるHAクラスターはシステムの連続稼働を支え、障害発生時に迅速に正常なシステムへ切り替えます。しかし、障害の原因がデータ改ざんや破損の場合、現行システムのデータが既に影響を受けている可能性があります。Arcserve UDPのバックアップがあれば、常にクリーンな状態のデータからシステムを復元でき、双方の弱点を補完することができます。

    業務継続性と迅速な復旧の両立

    LifeKeeperによるHAクラスター環境はシステム停止を防ぎ業務への影響を最小限に抑えます。さらにArcserve UDPのバックアップ機能により、最新の状態のデータに素早くリストアできるため、障害発生後の復旧時間を大幅に短縮し、業務継続性を確保します。

    サイバー攻撃に対する二重防御

    現代のサイバー攻撃は多様かつ高度化しており、単一の対策では万全の防御が難しい場合があります。私たちが提供するLifeKeeperによる冗長化はシステム停止を防ぎ、Arcserve UDPのバックアップ機能は不正な改ざんやデータ破損に対して迅速にクリーンなデータへ復元するという二重の防御体制を実現します。

    運用効率と管理の一元化

    連携運用によりシステム全体の運用負担を軽減しながら、高い可用性と信頼性を提供します。IT運用担当者が安心して業務に専念でき、企業全体のITレジリエンス向上につながります。

    検証結果:LifeKeeperとArcserve UDP

    実際に、サイオステクノロジーではArcserve Japan様のご協力を得て、LifeKeeperで冗長化されたOracle Database環境に対して、Arcserve UDP 10を用いたバックアップおよびリストアの検証を実施しました。

    検証の結果、冗長化された業務システムにおいても、システムを停止することなく確実に最新のデータを復旧できるバックアップ体制が構築可能であることを確認しています。このことは、業務の継続性と迅速な復旧の両立を実現する上で非常に重要な意味を持ちます。

    まとめ

    サイバー攻撃が巧妙化する現代において、システムの冗長化と確実なバックアップ・リストア体制の両立は極めて重要です。Arcserve Japan様のバックアップソリューション「Arcserve UDP」とサイオステクノロジーの高可用性クラスタリングソフトウェア「LifeKeeper」の連携は、データ保護からシステム継続稼働まで、包括的な事業継続基盤を実現する最適な手段となります。

    HAクラスター「LifeKeeper」とバックアップソリューション「Arcserve UDP」を組み合わせることで、企業は【システムの可用性】と【データの完全性】という二重の防御体制を構築できます。バックアップはデータを守るための基盤を、HAクラスターはシステムの継続稼働を実現するための仕組みとして、それぞれの役割を果たしています。互いを補完することで、より強固な事業継続計画(BCP)を実現できるのです。

    今後のインフラ戦略の一環として、両ソリューションの統合運用をぜひご検討ください。サイオステクノロジーでは、お客様のビジネス継続をサポートするため、Arcserve Japan様との協業を強化し、より強固なソリューションの提供に努めてまいります。

    👉 さらに詳しい検証内容や具体的な実装手順につきましては、Arcserve UDP 10とLifeKeeperの検証レポートをご確認ください。