2019年5月に東京リージョン、2020年2月に大阪リージョンが開設され更に利用が加速されるOCI(Oracle Cloud Infrastracture)ですが、
Oracle社の発表記事では2021年度は「日本市場でもOCIの採用が飛躍的に加速した年」で、2022年度もその勢いを維持、拡大していく方針が示されています。
当社ブログでも2020年12月に一度OCIについての記事を掲載しましたが、東西リージョンが開設された今、改めてOCIを使う理由について考えてみましょう。
OCIを使う理由① パフォーマンス
OCIはOracleDatabaseを利用する前提である為、汎用コンピューティングマシンからストレージに至るまで高性能な物が準備されています。
用途によってはOCI上でExadataやOracle RACも利用できるなどクラウドでOracle DBを使う上で必要十分なパフォーマンスを確保しています。
更にパブリッククラウドの多くにおいて見かける事が少ないパフォーマンスに関するSLAがあるなど、パフォーマンスに関してのこだわりを感じます。
OCIを使う理由② コスト
システムをクラウドで使う場合、
- 仮想マシンにかかる費用
- ストレージにかかる費用
- データ転送にかかる費用
- ライセンスにかかる費用
などがあります。
OCIは後発のパブリッククラウドのため、先人のクラウド事業者が提供する環境より、「高性能な環境をより安く」提供し、ネットワーキングにかかる費用も他社クラウドに比べ大きくコストダウンがされています。
既存DBシステムをクラウド化する場合に実際にクラウドに乗せてみたがパフォーマンスが不足し、それを補うための費用の高い高性能マシンやストレージが必要でクラウドリフトを断念したといった話も良く聞きます。
OCIで高性能なマシンやストレージ、さらにはそれらにかかるネットワーク料金も含めて他のパブリッククラウドに比べ費用対効果が大きいと感じます。
更にOracleDBのクラウドリフトの場合、今持っているライセンスをBYOLでOCIに持ち込む際には最大100日間の平行稼働が認められている点もOCIを使う理由であると思います。
OCIを使う理由③ 実績
情報通信・サービス・金融・卸売・科学・運輸・製造など既に多くの業種に導入されているOCI、日本の活用事例を見るだけでも日本で有数の大企業が採用している事も見て取れます。
活用事例としては「既存システムの移行・拡張」、「新規システムの迅速な展開」、「開発・検証の効率化」、「データの可視化・分析クラウド」など多岐にわたりくまなく利用されており、パフォーマンスとコストの恩恵にあずかっているユーザが多い事が分かります。
この実績の中には「高セキュリティ」である事も要素としては含まれており、社会公共基盤としての利用も見据えISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価精度)への登録を完了しています。
OCIを使う理由④ 利用促進
オンプレミスで利用している環境をOCIへ移行する際に、所有しているライセンスをSaaS利用に切り替えることができる「Customer to Cloud」、IaaS/PaaSの契約を纏めて行うことができるシステムなど、BYOLの仕組みが充実しており所有するライセンスも無駄なく利用することができます。
2021年度は2つの利用促進プラン「Oracle Support Rewards / Oracle Cloud Lift Services」が追加されました。
Oracle Support RewardsはOCI利用料の25%をサポートに充当でき、
Oracle Cloud Lift ServicesはOracle社のサポート部門がOCI利用に関してのPOCや立ち上げ支援を「無償」で行う事が発表されています。
OCIを使う理由⑤ 持続可能なサービス提供
OracleにはMAA(Oracle Maximum Availability Architecture)という可用性の要件レベルに応じた考え方があります。
これにはシングル構成から、HA構成、DR対策など必要な障害対策についてのベストプラクティスが紹介されています。
もちろん全てOCIの機能だけで構成してもよいですが、OCIを使う理由④で触れたオンプレミスの構成で障害対策として商用のHAクラスター構成を取っている場合はどうでしょうか?
商用HAクラスター構成をクラウド環境へ移行する時に問題となる部分は3つです。
- OCIで動作検証済の商用HAクラスター構成か否か
- 仮想IPをどう扱うか
- サービス切り替え前後で利用する「共有ストレージ」をどう準備するか
これらを踏まえ、OCIで利用可能な商用のHAクラスターソフトウェアを検索すると、
SIOS LifeKeeperが掲載されている事が分かります。
LifeKeeper for Linuxでは、OCIのAttach Block Volumeを共有ストレージリソースとしてサポートしています。そのためクラウドでありながら共有ストレージ構成が可能です。
また仮想IPアドレスの連携に関するスクリプトも提供しているため、スクリプトの作成ナシでクラスタリング構成を組むことができ、利用ガイドを公開しています。
オンプレミスで共有ストレージ構成で組んでいた場合、商用HAクラスターソフトウェアを利用されていた方がOCIにリフトする際に「運用オペレーションをほとんど変えなくてよい」といった学習コストの抑制や運用管理のしやすさにも繋がります。
いかがでしたでしょうか、後発のクラウドベンダーでDatabaseのスペシャリストが提供するパブリップクラウド、いくつものメリットがありますがオンプレミスからのクラウドリフト先としての検討価値は十分あるのではないでしょうか。
OCIへのクラウドリフトの利点はこちらでも紹介しています。ぜひご覧ください。