Oracle Cloud とは?企業に選ばれる3つの理由

    商用データベースの分野でトップシェアを占めているといわれるのがOracleのデータベースで、オラクル社が提供しています。Oracle Cloud は、このオラクル社が運用するクラウド環境です。

    「Oracle Cloudは機能的に使いにくそう」
    「AWS、Azureよりもコストが高そう」

    「Oracle Database以外は利用できないのでは?」

    といった方のために、Oracle Cloudならではの特徴を3つに絞って紹介していきます。AWS、Azureの後発だからこそ、よく考えられた安定稼働に関する機能や取り組みを是非とも参考にしていただき、移行先クラウドの選択肢に加えてみてください。

    Oracle Cloud とは?

    Oracle Cloudとは、オラクルが提供するパブリッククラウドサービスです。50を超えるサービス群を統合した企業向けのサービスで、要件に合わせて自由にサービスを組み合わせて利用できます。データベースのサービスもOracle Databaseだけではなく、MySQLやNoSQLのDatabase Serviceを提供しています。

    IaaSやPaaSなどのインフラ系サービスを、Oracle Cloud Infrastructure(以下OCI)と呼んでいます。OCIは、Oracle運営するデータセンター上のクラウドサービスだけでなく、お客様のデータセンター内にも構築できる点がユニークです。自社のデータセンター内に構築したクラウド環境は、管理と運用をオラクルが実施します。そのため、厳しいセキュリティ要件や既存システムとの連携などの問題をクリアしながら、クラウド環境を利用することが可能になります。

    このように、OCIはクラウド環境でありながら、オンプレミスのメリットを残した運用が可能で、クラウドへ移行するハードルを大幅に下げられるサービスです。ここからは、企業に選ばれる理由をもっと具体的にみていきましょう。

    Oracle Cloud の3つの特徴

    OCIは、AWS、Azureなどの他のパブリッククラウドと同様にIaaS、PaaS、SaaSのサービスを展開しています。一見違いが分かりにくいかもしれませんが、実は大きな違いや特徴があります。それは、コスト(経済制)、機能性、可用性の3つです。これらについて具体例をあげながら解説していきます。

    コスト(経済性)

    OCIの最も重要な特徴がこのコストです。主要なパブリッククラウドと比べた時の強みや、最も気になるデータベースのライセンス費用、そして気の利いたオンプレミスからの移行を支援するユニークな価格設定をご紹介します。

    他社パブリッククラウドとの比較

    IaaSに関しては、パブリッククラウド業界で先行する、AWSやMicrosoft Azureの価格をよく研究し、同等以下に設定されています。これは、オンプレミスからクラウドへ移行する際に、多くの企業がまずIaaSへの移行を試みることから、入口であるIaaSを安価に設定しまず使ってもらうことを狙っているからです。

    IaaSへの移行後、PaaS、SaaSへの移行を期待しているからこその戦略的な価格設定だと言えます。

    また、プライベートのネットワークコストが低いことや、高いIOPS性能を低価格で提供出来ている点をを非常に強調しており、AWSやAzureに比べると優位な点が多いです。

    出展:ZDNet Japan https://japan.zdnet.com/image/l/storage/35112195/storage/2017/12/22/78f13f3292d41fda57f55f9368dfab13/img_03.jpg

    Oracle DatabaseのBYOL

    コスト面でのもう一つの優位性は、Oracle Databaseのライセンス・保守費用です。

    OCIでは、Oracle Databaseソフトウェアの最新バージョンを、事前にセットアップ済みの状態で用意されているため、ンストールや設定等の煩雑な作業は不要です。もちろん、今、お客様が持っているOracle Databaseのライセンスを、BYOL(Bring Your Own License)してOCI上で利用することも可能です。

    なお、オンプレミスのOracle Database Standard Editionでは提供されていなかった、表領域の暗号化機能は、OCIに移行することで、同じStandard Editionでありながら利用可能になります。

    また、後述する可用性のところでも出てきますが、システム障害の影響を最小限に抑えることができる、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)をパブリッククラウド環境で制約なしに構成することができます。これにより、他のクラウドではCPU数の制限などによりオンプレよりもライセンス費用が上がってしまうケースが多かったのですが、コストが増加することなくクラウドでも使えることが大きなメリットとなっています。

    移行コスト

    OCIはエンタープライズと言われる規模の、大きな組織での採用例が多くでております。一般的に、オンプレミスからクラウドへの移行を検討する際、使える技術や環境の違いに苦労することは少なくありません。そのためOCIでは、システム構成の変更を最小限にできることで、システム設計の工数や運用変更に伴う影響検討などの多くを省けるよう考慮されています。これが結果的に移行にかかるコストを抑えられます。

    また、データベースのライセンスに関しても移行を促進させるためのライセンス適用条件を提供しています。通常は移行元と移行先で並行稼働させる期間にターム・ライセンスが必要になりますが、PaaSサービスへデータベースのライセンスをBYOLする場合は、最大100日までターム・ライセンスなしで並行稼動できます。この点は地味に嬉しい措置ではないでしょうか。

    機能性

    OCIの2つ目の特徴は機能です。OCI特有のデータベースのエディションや、ベアメタル提供、政府など公共機関でも安心して利用できるセキュリティについてご紹介します。

    データベースのライセンスエディション

    PaaSでOracle Databaseを利用する場合、以下の4つのOracle Databaseエディションを選択可能です。それぞれオンプレよりも少し機能が追加されており、OCIのPaaS上でOracle Databaseを利用するメリットと言えます。

    • Standard Edition :オンプレのSEとほぼ同等。透過型暗号機能を利用可。
    • Enterprise Edition :オンプレのEEとほぼ同等。
    • Enterprise Edition High Performance:EEの主要オプションをほぼ利用可能。
    • Enterprise Edition Extreme Performance:Exadataクラウドサービス利用時に適用。

    ベアメタルの提供

    元々OCIはその昔Bare Metal Cloudという名前でした。その名のとおり、オンプレミスの良いところを統合するという、いいとこ取りを目指していたそうです。

    OCIの機能で特徴的なのは、IaaSにおいて仮想マシンか、1台占有のベアメタルサーバかを選べることです。官公庁や大規模なお客様など、他システム・他社とサーバを共有させず、物理的に異なる環境で運用する必要がある場合は、ベアメタルサーバの選択肢が非常に有効です。

    ISMAPへの対応

    ISMAP(イスマップ)とは、内閣サイバーセキュリティセンター・総務省・経済産業省が所管して発足し運用が開始された「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度のことです。(Information system Security Management and Assessment Programの略。)

    政府情報システムは、クラウドサービスを利用することが原則となっていますが、政府調達の対象となるクラウドサービスは、第三者の監査を経て公表される「クラウドサービスリスト」に登録されたものに限定されることになっていきます。

    OCIは既にこのリストに入っております。AWSもAzureもISMAPのリストに入っているため、ここは違いではありませんが、政府調達が可能なセキュリティ要件を満たした、安心のクラウドサービスであることが証明されている点を付け加えておきます。

    出展:ISMAOポータル https://www.ismap.go.jp/csm

    可用性

    最後の特徴は可用性です。システムはいつか必ず故障します。クラウドも例外ではありません。ただし、万が一のためにお客様側でとれる対策や機能をOCI側で用意しています。これらを正しく理解し活用することで、オンプレでは高価すぎて対応を諦めていた障害に強い構成をとることも可能です。

    OCI上で特に大事な可用性に関する考え方「Oracle MAA」や、「RAC」というOracle Databaseの可用性機能との組み合わせについて紹介します。

    Oracle MAAとは

    Oracle Maximum Availability Architecture(Oracle MAA)は、オラクルにて実証済みの可用性を考慮した推奨構成のことだと思ってください。具体的には、求める可用性レベルによって、4段階のベストプラクティス構成を例示しております。費用対効果を鑑み、適切なレベルを選択してみてください。

    出展:Oracle MAAリファレンス・アーキテクチャhttps://docs.oracle.com/cd/F19136_01/haiad/index.html

     <Oracle Cloudにおける実装モデル>

    • BRONZE:単一リージョンの非冗長化構成
    • SILVER:単一リージョンの冗長化構成
    • GOLD&PLATINUM:マルチリージョンの構成
    • GOLD&PLATINUM:ハイブリッドクラウドの構成

    リージョン・可用性ドメイン・障害ドメイン

    MAAのうち、SILVER以上の可用性を求める場合に重要となるのがリージョン、可用性ドメイン、障害ドメインの活用です。これらをうまく活用することで、システム障害に強く、素早い復旧を見越したシステムを構築することができるようになります。

    • リージョン

    Oracle Cloudは、全世界に30のクラウドリージョンを提供しています。また新しいリージョンを急速に増やしています。リージョン新設のポイントは、近接性を達成し、 データの主権要件を満たすだけでなく、すべての国に地理的に分散した複数のリージョンを配置することで真の災害対策(ディザスタリカバリ)を実現することです。

    また、リージョン別に特定のコンプライアンスおよびテナンシー要件 を満たす必要のある営利事業、米国および英国政府、米国国防総省などにサービスを提供しています。

    • 可用性ドメイン(アヴェイラビリティドメイン)

    可用性ドメインはリージョン内に配置された1つ以上のデータ・センターのことです。1つのリージョンは、1つ以上の可用性ドメインで構成されます。

    可用性ドメインは、電源や冷却などのインフラストラクチャや内部可用性ドメイン・ネットワークを共有しないため、リージョン内の1つの可用性ドメインで障害が発生しても、同じリージョン内の他の可用性ドメインの可用性に影響を与える可能性はほとんどありません。

    例えば、可用性ドメインの異なるよう同じ役割を担う仮想マシンを配置し、ロードバランサーなどでアクセスを制御することで、万が一片方の可用性ドメインで故障があった場合でも、もう一方でサービスを継続し続けることができます。

    • フォルトドメイン(障害ドメイン)

    フォルトドメインは、可用性ドメイン内のハードウェアおよびインフラストラクチャをグループ化したものです。フォルト・ドメインを使用すると、インスタンスを1つの可用性ドメイン内の同じ物理ハードウェア上に配置しないようにできます。

    同じ物理サーバーの中にインスタンスの冗長化したインスタンスを配置してしまうと、仮にこのサーバーに物理的な故障が発生した場合、どちらのインスタンスも使えなくなってしまいます。これは、Oracle Cloud側のハードウェア保守作業などにも影響を受けてしまいます。これを避けるために、異なるフォルトドメインに配置することで影響回避します。

    多少乱暴ですが、フォルトドメインは物理サーバー可用性ドメインはデータセンターリージョンは距離の近い複数のデータセンターを束ねたものとイメージ頂くと理解しやすいかと思います。

    RACに対応する唯一のクラウド

    Oracle Databaseの可用性機能である、RACはオンプレミスではたくさんのユーザーが使っている非常に有益な機能です。2台以上のサーバーが連携(クラスター化)して、1台のサーバーであるかのように動作します。クラスタ化されたサーバーの1つに故障が起きた場合でも、残りのサーバーで処理を続行しますので、データベースとしての利用が継続できるため、障害に強い仕組みを構築することができます。

    この機能は、AWSやAzureなどのパブリッククラウドでは利用できません。Oracle社がその利用を禁止しているからです。よって、Oracle RACが利用できる唯一のパブリッククラウドと言っても過言ではなく、OCIの可用性における大きな特徴となっています。

    RACを使わない安価な高可用構成

    Oracle Databaseをサードパーティ製のHAクラスタソフトウェアである、サイオスのLifeKeeper/DataKeeperを使って冗長化することができます。稼働系ノードと待機系ノードを用意し、稼働系への障害時に自動的に待機系へ切り替える仕組みです。ノード間のデータの共有は、ブロックレベルのリアルタイム同期をDataKeeperで行います。OCI上では共有ストレージが利用できますが、共有ストレージを使わないデータレプリケーションする構成も可能です。

    RACと異なり、負荷分散の機能はないものの、仮想マシンと仮想ディスクを異なるフォルトドメインに分けて配置できるなど、RAC同等の可用性の向上が見込まれます。

    なお、この構成はOracle社とサイオスで共同検証されており、安心して構成いただけます。ぜひご活用ください。

    Oracle Cloud Infrastructureの導入事例

    OCIは、たくさんの日本企業で導入されています。目的に応じて様々な導入方法があるため、ここでは導入目的を移行・拡張、新規、開発・検証・分析の3つに分けて、それぞれの事例を紹介します。

    既存システムの移行・拡張例

    ここでは、既存システムの移行・拡張を目的にOCIを導入した導入事例を紹介します。

    ・アズワン

    アズワンは、提供商品が150万点を超える理化学機器の総合商社です。大量にある商品の在庫管理のために、OCIを採用しました。自社倉庫や仕入先倉庫にバラバラに存在する在庫を一目で把握できるよう、自社データ基盤「Oracle Exadata」で管理しているデータを外部連携する必要がありました。

    オンプレミスでの構築も検討しましたが、管理負荷や運用コストの面から断念しています。そこで、クラウドとチャットボットを組み合わせて、データベースの提供だけで外部に情報を公開できる仕組みを構築しました。開発期間は約1カ月で、内製でのツール開発はほとんどすることはなかったそうです。APIだけ用意しておけば運用の手間もなく、24時間365日のサービス提供が可能になりました。

    ・JTB

    大手旅行会社のJTBでは、IT戦略である既存システム活用の一環として、OCIを採用しています。従来はインフラ環境をオンプレミスで構築していましたが、基盤を構成するハードウェアの更改や運用にかかるコストなどが課題となっていました。そこで、自社データセンター内にクラウド環境を構築できるOCIを活用することにしたのです。

    OCIの利用により、他のパブリッククラウドと同程度のコストで自社データセンター内に環境を構築でき、オラクルによる一貫した管理、運用サービスが受けられます。旅行会社のシステムは季節やイベントによって処理が集中しますが、OCIは季節変動に関わらず定額で利用でき、高いセキュリティやパフォーマンスの強化にも成功しています。 

    新規システムでの採用例

    次に、新規のシステムとしてOCIを採用した例を紹介します。

     ・朝日新聞社

    朝日新聞社では、AIによる見出しの自動生成ツール構築のために、OCIを活用しています。新聞記事の見出し作成には手間がかかり、編集者の負担になっているという背景がありました。そこで、過去30年間の約900万記事のデータを利用して、AIの活用に取り組むことにしたのです。

    精度の高い見出しを自動生成するためには、AIの学習元となる大量のテキストデータを処理する必要があります。また、パラメータ変更など試行錯誤を繰り返すためには、高スペックのインフラ環境も欠かせません。そこで、高パフォーマンスのGPU環境が利用できるOCIを採用しました。社内CMSの一部では、すでにボタンひとつで見出しを生成できるようになっています。

    ・東京都主税局

    東京都主税局では、OCIを使って問い合わせに自動応答するためのシステム構築を検討しています。AIを活用したチャットボットにより、定型的な問い合わせに自動で回答を案内するという機能です。実証実験も実施しており、第一弾として「自動車税に関する問い合わせ」に対応するチャットボットが公開されました。

    実証実験には日本オラクルを含む4社が参画しており、第二弾として「納税や納税証明に関する問い合わせ」に対応するチャットボットも公開されています。このチャットボットには、カスタマーサービスの支援、データベース基盤、多言語アプリケーション実行基盤など、OCIの様々な機能が使用されています。 

    開発・検証・分析環境での活用例

    自社での開発や検証にOCIを活用している企業もあります。ここでは、開発・検証・分析のためのOCIを採用した事例を紹介します。 

     ・外為どっとコム

    外為どっとコムは、オンラインで外国為替保証金取引サービスを提供している企業です。外為どっとコムでは、顧客情報や注文情報などを格納していたデータベースのアップグレードの際、検証のためにOCIを活用しました。FX取引を担うシステムのため、アップグレードによる性能低下が起こらないように、2100本を超える全てのSQLについてアップグレード前後の環境を比較し、検証する必要があったのです。

    OCIのOracle RATを使うことで、大量のSQLを網羅的に検証し、テスト作業の負荷も軽減することが可能になりました。データベースのアップグレードなどを行う際に欠かせない検証作業ですが、OCIを活用することで網羅性や正確性を高めながら手間やコストを削減すること可能です。

    ・三鷹市

    三鷹市では、EBPMと呼ばれるエビデンスに基づく政策立案に取り組むためにOCIを採用しました。エビデンス、つまり膨大なデータや統計情報を分析して得られる「証拠」を元に政策を立案し、その政策の効果をまた分析する、という流れでEBPMは実施されます。その情報処理や分析にOCIが役立てられています。

    OCIの機能により、本来ならデータベース管理者が手動で行わなければならない作業を自動化したり、分析したデータを可視化したりすることが可能です。また、導入や操作に専門知識が不要というメリットもあり、実際に三鷹市ではITベンダーなどに開発を依頼することなく、マニュアルを参照しただけで利用を始められています。そのため、導入コストの大幅カットが可能になりました。

    まとめ

    OCIは、様々な機能が備わっているクラウドサービスです。一般的なパブリッククラウドの機能を有しながら、経済性、機能性、可用性において他のパブリッククラウドにはない特徴を多く持っております。

    特にOralce Databaseをクラウド上で利用したいお客様にとっては、いろいろな面で有利なため、重要な選択肢になるはずです。

    オンプレミスでOracle Databaseを利用中のお客様はまだまだ多く、カスタマイズして利用しているケースも非常に多いです。これらのケースでは、PaaSのDatabaseではなく、OCIの仮想マシンに一旦移行することになりますが、その際の可用性確保の選択肢の1つとしてサイオスのHAクラスタソリューションがお役に立つはずです。

    既にOracle社との共同検証を終え、動作済みの構成として検証レポートも公開しておりますのでぜひご活用ください。貴社のクラウド移行時、又は高可用化検討時の有効な選択肢となれば幸いです。

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