SAPのAWS移行 ベストプラクティス -Webinarレポート

    こんにちは、マーケティング担当のオイカワです。

    「SAP on AWS」をテーマにしたウェビナーを、BeeXAWSサイオステクノロジーの3社で共催いたしました。(2023年1月27日)

    その内容をダイジェストの形でレポートいたします。本記事は5分くらいで読めますが、ウェビナー自体も文中のリンクからご視聴頂けます。具体的で、中身の濃い内容となっていましたので、この記事を読んで興味を持たれましたら、ぜひ動画の方もご視聴することをお勧めいたします。

    BeeX:SAPシステムロードマップ再整理とSAP on AWS移行のポイント

    まず、BeeXの広木様より、ERP6.0の保守期限を共有頂くところから開始頂きました。

    SAP ERP 6.0の保守期限は

    ERP6.0における機能拡張パッケージである、Enhancement Package(以下EHP)の版によって、その期限が異なります。

    • EHP1~5 →2025年末まで
    • EHP6~8 →2027年末まで ※延長保守サービスにより最長2030年末まで延長

    これらを踏まえ、大きく以下2つのルートを提示されていました。

    1つ目は、現行のSAP ERPに不満がないことを前提に、EHP6の適用とOS/DBアップグレードによる最大延命をはかるルートです。S/4 HANAへの移行に大きな猶予期間が生まれることが大きなメリットです。

    2つ目は、現行のSAP ERPに問題や不満がある場合で、S/4 HANAへの移行を進めるルートです。

    いずれのルートであっても、S/4 HANAへの移行を視野に、ハードウェア入れ替え課題から開放される、クラウドへの移行を推奨されておりました。

    ウェビナー中では、移行のステップや選択肢がたくさん記載されており、様々なケースを想定した移行ルートが1枚のスライドで簡潔に表現されていました。自社のケースがどれに当てはまりそうか、すぐに見つけられそうです。

    また、S/4 HANAのメインストリーム保守期間についても嬉しい共有がありました。従来は5年の保守期間だったそうですが、2023年版より保守期間が7年に変更された、という情報の共有がありました。なるべく長くメンテナンスを少なく利用したいお客様にとっては嬉しいのではないでしょうか。

    SAPのクラウド移行における2つの方法

    次に、クラウドへの移行について主に2つの方法があることが示されました。1つは、「SAPの標準移行方法」です。現行システムからエクスポートしてから新システムへインポートするやり方で、SWPM、DMOと言われます。もう1つは現行システムをそのままクラウドへもっていく「イメージ移行」です。

    具体的なAWSの機能をあげ、システム構成例を示しながら、簡単な作業のステップについても紹介がありました。ダウンタイムや、作業の手間などの観点で、それぞれメリット・デメリットあり、クラウドのツールをうまく組み合わせて活用することがカギになる、とアドバイスがありました。

    クラウド自体を利用するための標準化とは

    そして最後にクラウド移行の準備についても解説頂きました。単純にSAPの移行のためだけでなく、組織として今後クラウドを活用していくことを踏まえ、以下、6つの観点での標準化を推奨されていました。

    • 回復性の高い設計
    • セキュリティ
    • 運用の自動化
    • 監視・モニタリング
    • コスト
    • 持続可能性

    豊富な移行実績により、移行の技術課題だけでなく、クラウドの標準化についても、しっかりBeeX様が伴走してくれそうだと視聴者に思って頂けたのではないでしょうか。

    オンデマンドでこのセッションを視聴頂けますのでぜひどうぞ。


    AWS:SAP on AWS概要と最新情報

    次に登壇頂いたのは、AWSの岩崎様です。

    2008年から開始された、AWS上でのSAPとAWSとの取組みについて紹介頂きました。2020年にはSAPのインストールを自動化するツールをAWSが無償提供したり、2021年にはSAPによるマネージドサービスのAWS版が開始されたことなどが説明されました。

    また、なぜSAP on AWSなのかについても紹介頂きました。

    すぐに使える素早いインフラ構築や、インメモリDBであるHANAを含むリソースの弾力性などなど、、6つの魅力的なポイントをご紹介頂きました。

    SAP on AWS 最新情報 re:Invent 2022より

    そして最後に、2022年にラスベガスで開催された re:Inventというイベントで発表された内容を中心にSAP on AWSに関する最新情報を共有頂きました。

    • 仮想タイプの18TB、24TBインスタンスの提供
    • SAP HANAのクラスタ構成(NetApp)のサポート
    • ABAPコードからAWSサービスを直接呼び出す機能のプレビュー開始  等々

    また、これらSAP on AWSに関連したセッションやハンズオンは、AWSのYoutubeチャンネルで公開されているそうです。Youtubeで「re:Invent 2022 SAP on AWS」などで検索すると、ABAPのSDKを紹介する動画がヒットすると思います。視聴してみてはいかがでしょうか。

    私も1つ視聴してみましたが、Youtubeの日本語翻訳がとても精度があがっていて驚きました。だいぶ理解できますので、字幕の自動翻訳機能を試してみてください。(ますます英語を勉強しなくなりそうです。汗)

    話を元に戻します。

    最後に、SAP HANAの本稼働認定された、EC2インスタンスのラインアップが増えた話をして頂きました。256GBから24TBまでと、品ぞろえがますます豊富になっています。データ容量やコスト要件から最適な選択肢が見つかるのではないでしょうか。

    こちらもオンデマンドでウェビナーを視聴頂けます。

    SIOS:SAP on AWSへの移行の際に考慮しておくべき可用性のポイント

    最後に、弊社サイオステクノロジーのプリセールスである西下から、障害対策パターンについてのセッションを行いました。

    AutoRecoveryやバックアップを解説しつつ、HAクラスターとの違いと優位性を解説いたしました。その中でサイオスが提供する「LifeKeeper」というHAクラスター製品がいかに安心で安全な構成を実現できるかを紹介させて頂いています。

    HANA、NetWeaverの冗長化構成と処理概要

    具体的には、HANAやNetWeaverを冗長化する際、監視とフェイルオーバーを行う制御スクリプトをつくる必要がありますが、それらはサイオスからオプション製品として提供されるため、メーカーがサポートした制御スクリプトをすぐに利用できる点です。これが多くのお客様に選んで頂いている理由となっています。

    そして、NetWeaver冗長化において、どのようなシステム構成で、障害時にどのサービスがどう切り替わっていくのかを図を使ってご紹介しました。また、HANAについてはHSRと組み合わせた「LifeKeeper」の役割とOSSで実現した場合とはどう異なり、どんなユーザーメリットがあるのかについて解説させて頂きました。

    さいごに

    セッション終了後の質疑応答時間では、たくさんの具体的な質問を頂きました。

    • S/4 HANAへコンバージョンする前にEHP適用は必要ですか?
    • SAP on AWSを検討する際の、「コストとスループットがトレードオフ」するとは?
    • LifeKeeperの導入・設定をサイオスに依頼することはできるのか? などなど

    予定の時間を超過してしまいましたが、実際にSAPのクラウド移行を検討中の企業様が、まだまだたくさんいらっしゃると感じました。

    ERPをオンプレで運用されているエンドユーザー様はぜひご参考頂けますと幸いです。
    なお、オンデマンド動画では、質疑応答部分をご視聴頂けません。ご了承ください。

     

    参考資料: