SCSI Reservationだけではない!LifeKeeperのIO Fencing機能

    今回は、LifeKeeper for Linuxで利用可能なIO Fencing構成について紹介したいと思います。
    また、SCSI Reservation以外のフェンシング機能について、まだまだ知らない方も多いと思うので、それぞれの構成について動作検証と構築手順を紹介したレポートを用意いたしました。

    LifeKeeper for Linuxでのフェンシング機能について今一度知りたいという利用者様方はぜひご一読ください。

    HAクラスターソフトウェアであるLifeKeeper for Linuxでは共有ディスクを利用したノード間でのデータ共有を行いますが、現在の最新版バージョンとなるv9.5.2では以下のように様々な構成での利用が可能となっています。

    • SCSI Reservation構成
    • Quorum/Witness(QWK) 構成
    • VMDK ARK

    それぞれを説明していきます。

    SCSI Reservation構成

    SCSI Reservation構成は、スプリットブレインを回避するIO Fencingの目的からストレージに対してSCSI2,3のコマンドを発行するため、ストレージが正しくSCSIコマンドに応答するかどうか実際に動作テストを実施しています。
    そしてテストに合格したストレージのみ、SCSI Reservationが利用可能なストレージとして以下に一覧を提供しています。

     

    ただし世界中に出回る全てのストレージに対してSCSI Reservationのテストを行うのは難しく、実際に弊社およびパートナー企業で動作確認のとれたSCSI Reservationでの利用がサポート可能なストレージがこのリストに掲載されておます。
    ストレージの新モデルなどへの対応はどうしても時間が必要となるため、お客様で採用予定のストレージが必ずしも動作確認済みとはならない訳です。

    上記はSCSI Reservation構成での必要条件となりますが、最近では動作検証を必要としないSCSI Reservation構成以外のIO Fencing機能を利用いただくことができます。
    そのため、動作検証を行っていないストレージでもサポート構成としてご利用いただくことが可能です。

    Quorum/Witness

    LifeKeeper for Linux は、SCSI Reservation以外にQuorum/WitnessというIO Fencing機能を提供しています。

    Quorum/Witnessはスプリットブレイン発生時に、Quorum check , Witness checkを用いて自ノードが正常かどうかの判断を行います。
    SCSIコマンドを利用することがないため、これらのチェック方法は
    サポートするOSであれば利用可能となります。

    つまりストレージに依存しないIO Fencing機能になっています。

    また、Quorum/Witness構成には以下の2種類の方法が採用可能です。

    • Witness Server
    • Storage Quorum(ストレージクォーラム)

    Witness Server 構成

    Witness Server 構成は、共有ストレージを全く使用せずにIO Fencingが利用可能となります。
    そのため共有ストレージが利用できないようなクラウド環境や、SCSI Reservationが非サポートとなる共有ストレージ・ディスク構成でも利用可能です。
    なおSCSI Reservationの代わりに接続ノード数によるQuorumを利用するため、2ノード構成では投票に必要な定数が不足します。そのため3台目のWitness Serverが必要となります。

    Storage Quorum構成

    Storage QuorumはストレージのLUNやNFS共有ディスク、AWS S3などをノード間で共有して相互にQuorum check , Witness checkを行う構成です。
    ディスク・ハートビートのような役割を果たします。

    メリットとしては2ノード構成で利用可能なことです。
    デメリットととしては、最小サイズで問題はないのですが、Storage quorum専用の共有ディスクが必要であることです。

    VMDK ARK

    もうひとつVMDK ARKという新たな共有ディスク構成を提供しています。これは、VMwareの機能やVMDKの特性を使用した共有ディスク構成となります。そのため、VMware環境以外では利用できません。

    特徴としては、複数のVMが共有されたデータストアのVMDKをアクティブ時にはアタッチして、スタンバイノードではデタッチして利用します。この際、両ノードから同時にアタッチして利用できないよう、SCSI コントローラの共有設定を「なし」として構成します。またノードへのアクセスが不可となると、ESXi Server 経由でVMを停止することも可能になっています。

    これらの機能を利用することで、VMDKをクラスターの共有ディスクとして利用することが可能となっています。

    それぞれのまとめ

    以上のようにIO Fencingが可能な機能はいくつかあります。それぞれの特徴をマトリックスにまとめてみました。

    Witness ServerStorage quorumVMDK ARKSCSI Reservation
    利用可能な最小ノード数3台2台2台2台
    共有ディスク構成必須ではない必須ではないVMware環境として必須必須
    利用可能なストレージ利用するOSがサポート済みであることVMware環境でサポート済みであることLifeKeeper で動作検証済みであること
    利用可能なプラットフォーム物理/仮想環境/クラウド物理/仮想環境/クラウド仮想環境
    (VMware)

    物理

     

    上記で紹介したSCSI Reservation以外での構成について、以下に動作検証レポートを作成しました。Dell / EMC社よりストレージのご協力をいただき、検証を行うことができました。大変感謝いたします。

    それぞれのレポートでは、QWK(Witnessサーバ構成), QWK(Storage quorum 構成),VMDK ARKの各構成での動作検証内容や構築手順を紹介しています。これらの構成での導入をご検討されている方はご参考いただければと存じます。