金融機関でよく導入される構成とAWSでの高可用性ソリューションについて紹介

    昨年は金融業界でのシステム障害についてテレビやネットニュースでよく見聞きしましたが、もし自分自身が当事者として被害にあってしまったらと考えると不安ですよね。

    障害対策の手法の一つとして、HAクラスター構成を組む方法があります。
    今回は初期コストや運用コストを抑えつつ高い可用性を実現できる、AWS上でのHAクラスター構成についてご紹介いたします。

    1.金融業界でHAクラスターが必要な理由

    金融業界でのシステム障害は耳にしますが、特に障害によるデータ消失などが起きてしまった場合、考えたくもない状況が発生しかねません。
    最近は通帳もオンライン化が進んでいますので、システム障害が発生すると自身の残高なども確認できなくなります。
    もちろん最悪のシナリオを想定した場合のリカバリ策は取られていると思いますが、障害が多発するとリカバリに対しても不振を抱いてしまいそうです。
    そのため利用者は障害の多いシステムの利用を見直すことに
    なりかねません。

    といった具合にユーザー目線で考えると、些細なトラブルでも避けたいところです。

    そんな銀行システムが停止しないよう、また停止しても被害を最小限に抑えるために、基盤となるシステムへHAクラスターソフトウェアを導入いただくケースが増えています。

    可用性?HAクラスター??という方は以下の記事やHAクラスターとはをご覧ください。

     

    HAクラスター構成は、共有ストレージデバイスの設置や待機用のサーバー(スタンバイノード)の配置など、どうしてもコストが高くなってしまいます。
    そこで今回は初期コストや運用コストを抑えつつ高い可用性を実現する、
    AWS上でのHAクラスター構成についてご紹介いたします。

    金融機関では多くのシステムを導入して日々運用されていますが、特にクラスターで保護することが多い勘定系システム(OracleとHULFT)のケースについて紹介します。

    2.金融業界でHAクラスターにより保護されるシステム構成

    勘定系システムは預金額や融資の残高管理や利息管理を行うシステムです。
    ユーザーが利用するATMやWebアプリケーションをフロントシステムとして、バックエンドシステムに要求を送ります。
    バックエンドシステムは受け取った要求に従いデータベースの更新や他サーバーとの連携を行います。
    そのため勘定系システムのバックエンドシステムではOracle やHULFTが利用されることが多く、システムの停止が致命的となることから高可用性を求めるケースが多く見られます。

    また勘定系システムはどうしても大規模な構成となりがちですので、これまでは導入に多くのコストがかかっていました。
    しかしながら、AWSなどクラウド環境への導入を行うことで、オンプレミスで検討したようなハードウェアの選定が不要となります。
    そのため導入までのスケジュールやコスト、導入後のハードウェア運用コストなどが軽減されるというメリットがあります。

    クラウドへの移行はプラットフォームの管理をクラウドベンダーに委託する形になります。
    稀にニュースでも取り上げあげられる大規模障害が発生するため不安視される事もありますが、HAクラスターソフトウェアを一緒に導入することで、障害が発生しても自動的にリカバリさせることができます

    実際に、2019年8月に発生したAWSでの大規模障害時には、クラスターノードを別々のAZに配置することで、サービスの提供を自動的にリカバリーするケースが確認されています。

    以下の構成図にあるように、Availability Zone(AZ)を分けて稼働系/待機系ノードを配置することで、稼働系のAZで大規模障害が発生しても待機系のAZに自動的にサービスを切り替えて運用することができます。

    HAクラスターソフトウェア LifeKeeperを用いた場合の構成図

    クラスター構成では稼働系と待機系で同じデータを共有するのが一般的ですが、AWSなどのクラウド環境では共有ディスクを用意することができません
    そこで共有ディスクを利用せずに、ネットワーク経由でデータレプリケーションを行うDataKeeperを使用します。
    DataKeeperは稼働系と待機系の間でデータのリアルタイム同期を行い、
    共有ディスクの代わりとして働きます

    またLifeKeeperでは、今回のケースにあるOracleやHULFTを保護するためのRecovery Kitを提供しています。
    Recovery Kitはクラスターでアプリケーションを保護(アプリケーションの監視やリカバリー、起動、停止)を行うスクリプトです。
    そのためアプリケーションに合わせたスクリプト開発をお客様に行っていただく必要がなく、実績のある構成を安心簡単にご利用いただけます。

    他にも、AWS上での導入事例もご用意しております。
    今回ご紹介したようなHULFTやOracle以外に、SAPやJP1などが構成に組まれたケースもございますので、ぜひダウンロードください。