昨年から顧客システムの導入スケジュールの遅延が発生することが多くなったと肌で感じています。
全世界で問題となっている半導体不足が原因であると耳にしますが、この影響で2021年は目標を変更せざるえないなど、多方面で様々な問題を引き起こしているのではないでしょうか。
そんなハードウェアの納期で案件が左右されるのであれば、思い切ってハードウェアへの検討がいらないクラウドへの移行について考えたほうがいいかもしれません。
また大規模システムでありクラウドへの移行が難しいケースでは、空いているスタンバイノードのリソースを有効活用する複数のシステムを統合するなどの方法で、ハードウェアリソースの効率化を検討するのは如何でしょうか。
- 2つ以上のサービスを1つのクラスターシステム内で効率的に運用する方法
- 待機中で利用されることのないスタンバイノード(ハードウェアや仮想マシン)を有効活用できる
今回は、HAクラスター構成で可能な複数のシステムをひとつのクラスター内で共存する、効率的な運用に対してのひとつの方法を紹介します。
アクティブ/スタンバイ構成
ハードウェア障害によって提供サービスの停止を回避する方法としては様々な方法が用意されています。
弊社では、サービス障害時に自動フェイルオーバー(サービスの自動リカバリ)機能を持つクラスターソフトウェアであるLifeKeeper を紹介しています。
HAクラスターはサービスの継続を自動化する反面でデメリットとして、同一サーバーを2台以上で構成(アクティブ/スタンバイ構成)とする必要があり、この影響でスタンドアローン構成と比較してハードウェアコストが2倍上かかるという課題があります。
HAクラスターの構成では、サービスを起動する稼働系(アクティブ)ノードと待機系(スタンバイ)ノードの2台以上のサーバーを用意して運用します。この構成はアクティブ/スタンバイ構成と呼ばれる一般的な構成です。
稼働系ノードではサービスを運用するためのハードウェアリソースが消費されますが、待機系ノードは稼働系ノードで障害を検出しない限りハードウェアリソースは利用されずに待機となります。
アクティブ/アクティブ構成(相互スタンバイ構成)
対して、利用されないスタンバイノードのハードウェアを有効利用する方法として、アクティブ/アクティブ構成(相互スタンバイ構成)があります。
アクティブ/アクティブ構成は、サーバー2台と共有ディスクリソース最低2つで、複数のサービスを保護することが可能です。
共有ディスクをサービス毎に分けることで別々のノードでアクティブとすることが可能です。
懸念点としては、障害発生時は2つのサービスが片方のノードで稼働してサービスを提供する構成になる場合もありことです。そのため、1つのサービスを稼働するアクティブ/スタンバイ構成よりもハードウェアリソースを利用しますので、その分高性能なハードウェアを用意する必要があります。
それでも、アクティブ/スタンバイ構成を2つ並べてそれぞれで別々のサービスを運用するよりは、アクティブ/アクティブ構成でハードウェアスペックを高めて運用するほうがコスト面でのメリットが出てくるケースが多いです。
お客様の環境での導入を検討頂ければと思います。
クラウドへの導入、ライセンスについて
アクティブ/アクティブ構成はクラウド環境でも契約するインスタンス数などで効率化が可能となります。そのため、上記について同様に検討いただく事が有効だと考えています。
なおLifeKeeper のライセンスはノード数分のライセンスが必要となるため、アクティブ/アクティブ構成でアクティブ/スタンバイ構成でも、LifeKeeper のCoreライセンス数は変わりがありません。
例えば、Oracle と Apache Web Server を保護するLinuxOSでのアクティブ/アクティブ構成の場合、以下のようなライセンスが必要となります。
- LifeKeeper for Linux(Core) X2
- Oracle ARK X2
- Apache ARK X2
*共有ディスクについては考慮していないので、構成に合わせてコアライセンスを選択してください。
今回案内した”アクティブ/アクティブ構成”,、”アクティブ/スタンバイ構成”についての詳細は以下のオンラインマニュアルに詳細があります。ご参考ください。
相互スタンバイ構成の事例として住友商事株式会社様もご紹介しております。
より詳細に確認したい方は、以下からお問い合わせください。