『アナ雪2』から学ぶ、クラウド移行と高可用性のポイント5つ

    寄稿:米国サイオス VP  Cassius Rhue

    jmlalonde.comのジョセフ・ラロンド氏が、『ハンコック』や『グレイテスト・ショーマン』、『アナと雪の女王2』などの人気映画から、リーダーシップについて学んだことを紹介するブログを公開している。ジョセフ氏の刺激的なリーダーシップの教訓にあやかって、ここではクラウド移行における高可用性に関して、ディズニー映画『アナと雪の女王2』から学んだ5つのポイントを紹介する。

    ディズニーの『アナと雪の女王 2』とクラウド移行に関する学び

    ディズニーの冒険アニメ『アナと雪の女王2』では、登場人物のアナ、エルサ、クリストフ、オラフ、スヴェンが、魔法の森を目指してアレンデールを後にする。冒険の中で、彼らはアレンデールを救うためにエルサの魔力の源を見つけようとする。

    この映画は6人の娘を持つ父親である私にとって楽しいだけでなく、リーダーシップ、人生、高可用性に関する学びも充実している。

     

    1.適切な支援なしにはクラウド移行は開始できない

    エルサ、アナ、クリストフ、オラフ、スヴェンが不思議な声に呼ばれて行った先には、巨大な雲があった。オラフとクリストフが入ろうとすると、跳ね返されて撃退されてしまう。しかし、エルサが魔法を使って雲に近づくと入口が開かれ、彼らはその中へと入っていく。

    クラウドに移行する際には、たくさんの選択肢があなたを呼ぶだろう。AWSAzureGCPやその他の無数のサービスがあなたを誘う。ただし、どれを選ぶにしても、移行を成功させるには適切な支援が必要になることを知っておいてほしい。そのような支援には次のようなものがある。

    • プラットフォーム、特にネットワーク面に精通したアーキテクト
    • アプリケーションのインストール、構成、運用、保守の特性を理解しているアプリケーション管理者
    • セキュリティおよびOS管理者
    • クラウドパートナーの担当者
    • 高可用性アーキテクチャに重要なアプリケーションを展開するための知識が豊富な可用性の専門家

     

    2.大人になったらわからない。だから文書化して繰り返そう

    オラフが魔法の森の中を歩いていると、森の不思議な現象や魔法を体験する。その途中で、オラフは次のように歌い始める。

    「大人になったら きっと分かる これがどういうことか お利口になって考えたら こんなこと 怖くない 大人になれば 答えが分かる」

    そして歌は、盛り上がって次のように終わる。

    「大人になったら すべて 分かるようになる 最高だね」

    閑話休題。クラウドの旅を始めたばかりで右も左もわからないときは、時間をかけて理解するよう努めるべきだ。アジャイルなマインドセットを使っている場合は、特定のテーマや混乱しているポイントについて、調査を開始しよう。

    たとえば現在、VPC、セキュリティグループ、可用性ゾーンや可用性セット、リージョンといった概念を理解していなければ、数ヶ月後にこの構成に戻ったときに、それはさらに意味のないものになっているはずだ。テスト結果の意味がわからない場合は、先に進まずにもう一度テストを実行しよう。また、重要だと思う部分だけではなく、未来の自分(別のプロジェクトを6つ経験した後で、期限に直面している)が知りたいと思うような細部も含めて、アーキテクチャを文書化することを忘れてはいけない。

     

    3.火の中に飛び込んではいけない。クラウドの高可用性の正しいソリューションを選ぼう

    風の精霊との戦いの後、魔法の森は火の精霊によって燃やされていく。火の精霊が混沌と炎を拡大していく中、エルサは強力な氷の突風を巻き起こしながら突進して炎を冷却し、この精霊を落ち着かせようとする。姉を助けるため、アナはエルサの後から火の中に飛び込み、窮地に陥る。ようやく二人が再会したとき、エルサは妹に「火の中に入っていくなんて!死んだかもしれないじゃない」と諭すが、気の強いアナは「そんなふうに言うなら、火の中に飛び込まないで」と反論する。

    テストされていない理論とシナリオで非現実的なスケジュールを作成して複雑な事態になっていない場合ですら、クラウドに移行して適切な可用性ソリューションを選択することは、十分にストレスフルだ。自分のチームを危険に晒したいと思うリーダーはいないので、トラブルに巻き込まれないように注意する必要がある。

    計画を立てる。チェックポイントとマイルストーンを設定する、現実的なリスクとリスク管理戦略を盛り込む、ベンダーやパートナー、特にチームと頻繁にコミュニケーションをとる。十分にテストを行い、バックアップやバックアウトの計画を理解することが大切だ。

     

    4.何をクラウドに移行するかについては、過去にとらわれてはいけない

    『魔法の川の子守歌』という歌が、素晴らしいコーラスと共に映画全編を通して何度も歌われる。

    「深く潜って 探してみるといいわ / でも気をつけて おぼれないように」

    映画がクライマックスへと向かう中、エルサはさらに深く潜って過去の真実を探究していくのだが、エルサは凍らされてしまう。だがエルサの妹への想いと警告が一筋の氷のかけらとなって、空の彼方へと消えていく。

    SIOS Technology Corp.のカスタマーエクスペリエンスチームの責任者の一人として、私はあまりにも多くの展開や移行が比較の罠に陥っているのを目の当たりにしてきた。「うちの古いデータセンターでは」とか「そのくらい、古いシステムでもできた」というような言葉をよく耳にする。確かに、固定システム、専用リソース、大規模なチーム、特定のネットワーク構成、高コストで高機能のSANストレージという古いシステムでも、同じことができたかもしれない。(とはいえ正直なところ、たまに化けの皮が剥がれて、オンプレミスでは同じことはできなかったということもあった…)

    クラウドに移行する際には、クラウドで模倣するのが適しているものとそうでないものを理解することが重要だ。なぜオンプレミスのシステムがそのように設計されたのかを理解し、この記事のレッスン1で説明した支援とレッスン2で説明した内容を活かして、意味のある意思決定を行う必要がある。

    そして、最後のレッスンだ。

     

    5.オンプレミスとクラウド:王国は常に2つある

    映画の最後、アナはかつて姉のエルサが治めていたアレンデールの女王となり、エルサはノーサルドラに留まってノーサルドラの人々を率いる。姉はかつて謎と雲に包まれていた森の周辺に留まり、妹は慣れ親しんだ土地に戻る。

    クラウドへの移行と高可用性戦略を検討する際には、常に2つの王国が存在することを覚えておいてほしい。また移行戦略では、クラウド展開と連携するためのオンプレミスのデータセンターが常に必要である。オンプレミスのシステムがかつてほど広大ではなくとも、すべてのワークロードや重要なインフラを再利用してクラウド用にパッケージ化できるわけではない。両方の「王国」を築き、それを有効活用するHAソリューションと戦略を持つことが不可欠なのだ。

    危険を冒さずにクラウドに移行するには、適切なチーム、適切なツールとソリューション、戦略と計画が必要である。クラウドに移行する際には、過去と向き合い、理解し、そこで立ち往生しないように注意しなければならない。そして、『アナと雪の女王2』の2人の姉妹のように、すべての美しいエンタープライズストーリーには2つの側面があり、オンプレミスとクラウドの両方を利用できることを覚えておいてほしい。

     

    当社は、ITシステムの障害対策ソフトウェア「LifeKeeper」を提供しております。 「LifeKeeper」に興味をもって頂けましたら、ぜひ当社HPまでお越しください。

    SNSでもご購読できます。