寄稿:米国サイオス VP Cassius Rhue
『クローンズ』(原題:Multiplicity)は、家族と過酷な労働を両立しようと奮闘する、多忙な建設作業員ダグ・キニー役としてマイケル・キートンが主演した、1996年のアメリカのSFコメディ映画だ。
ダグ科学者に彼のクローンを作成しようかと提案されると、スケジュールと約束を守ることがラクになると思い、これに同意する。しかしその後、彼のクローンはさらに自分自身のクローンを作り始める。最後のクローンが作られる頃には、クローンを作ってもすべてが解決されるわけではないということが明らかになった。有名なスタートレックのエピソード『トリブルのトラブル』でも、同じことがポイントになっている。
クラウドでの大画面(または小さな画面)のクローニングは素晴らしいツールだが、課題がないわけではないのと同じことだ。
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可用性システムのクローンを成功させるためには
1.正常に動いているシステムのクローンを作成する
機能していないシステムをクローンした場合、同様にそのクローンも復元した際に機能せず、問題が発生する。これは当たり前のことのようだが、私は実際のエンタープライズ環境で何度も起こっているのを見てきた。作成するクローンが、正しく動作しているシステムから作成されたものであるかどうかを確認する必要がある。
2.データをディスクに同期し、復元時に再同期する
ファイルシステムの整合性はとても重要だ。アプリケーションやVMの整合性が取れていることを確認していない場合、ほとんどのベンダーは作成されたイメージを保証しない。スナップショットは、snapshotコマンドが発行された時点でボリュームに書き込まれたデータのみをキャプチャするため、アプリケーションやオペレーティングシステムによってキャッシュされたデータが除外される場合がある。データがファイルシステムに適切に同期されていることを確認することは重要なステップであり、クラスター環境では本当に重要だ。
イメージから復元する場合は、ファイルシステムの整合性にも留意する必要がある。データレプリケーションを使用していて、クラスター内のソースまたはターゲットとしてイメージを復元する場合は、2つのノードが同期していることの確認が最優先事項だ。これを怠ると、フェールオーバーまたはスイッチオーバー時にファイルシステムエラーが発生したり、データが失われたりする可能性がある。
3.インスタンスを停止する
多くの環境では、イメージを作成するためにインスタンスを停止する必要はなく、AWSのようにコピーを作成する前にノードの電源を落とすというステップを踏む環境もある。しかし、多くのツールやサイトでは、破損や整合性の喪失、インストールされているアプリケーションの起動・停止・実行で問題を起こすイメージの作成を回避するために、アプリケーションが停止し、ファイルシステムへのアクセスが適切に同期されていることを確認することを推奨している。
4.クラウド内の全てのもの(ノード、ディスク、NICなど)にラベルを付ける
クラウド内の全てにラベルを付けよう。ラベルが付けられていない場合、何が使用されていて何が使用されていないのか、なぜそれが作成されたのかを知ることは難しくなり、チームメンバーのつたない記憶や集中力の低さの影響を受ける可能性がある。
5.クローンとスナップショットを頻繁に整理する(コスト削減と頭痛の種の軽減)
古いスナップショットは、新しいコピーで対処または解決された脆弱性を再び引き起こすリスクがある。古いスナップショットやクローンを整理することは、コスト削減につながるだけでなく、頭痛の種を減らすのにも役立つ。
また、アプリケーションを再起動した後、いくつかの問題が発生する事がある。私はSIOS Technology Corp.のカスタマーエクスペリエンス担当副社長として、スナップショットから復元した顧客と作業した際、そのような結果を実際に目の当たりにしている。トラブルシューティングの結果、クローンが古いバージョンのセキュリティソフトウェアを実行しており、ユーザープロファイルに保存されているキャッシュされた資格情報とメタデータが、外部にマウントされたデータドライブに保存されている実際のアプリケーションデータと同期していないことが判明した。
6.クラウドでのクローンの複製を制限または禁止する
最後に、クラウドで行うすべての作業を複製する必要はない。クローンを作成するワークロードのタイプを制限し、環境内でクローンを作成できる人の数または役割を限定することを検討すべきだ。
映画では、ダグのクローンが勝手に自分のクローンを作成し始めたとき、すでに困り果てたダグ(マイケル・キートン)は、妻から混乱を隠そうとしながら、彼の何人ものクローンを管理するために余分なエネルギーを使うことを余儀なくされる。作業を簡単にし、環境をより安全にするはずのツールによって作業が増えたり、リスクが追加されたりしないように、クローンの作成は慎重に行ってほしい。
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