Linuxサーバの冗長化(HAクラスター構成)は、 商用ソフトウェアで?それともOSSで?

    無償で利用できることから、ホスティングサービスなどで圧倒的実績を誇るLinuxなどOSSのOS。コスト面だけでなく、ソースが公開されカスタマイズ性にすぐれることもあり、オンプレミス/クラウド(IaaS)を問わず、幅広い領域・用途で利用が進んでいます。

    Linuxにおいても、クリティカルな用途でHAクラスター構成など冗長化が欠かせないことは言うまでもありません。

    そこで今回は、Linuxサーバの冗長化に欠かせないHAクラスタソフトウェアについて、メリットや選定ポイントなどをご紹介します。

    サーバOSでもOSSが勢力拡大中

    ビジネス用途でのニーズ(レベル)を満たすサポートを付与して提供される有償ディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」の成功もあり、今やLinuxはPC サーバだけでなく、ハイエンドなサーバやメインフレームなど、幅広い領域で普及しています。

    IDC Japanによる国内サーバオペレーティングシステム市場予測(2019年8月)では、2018年~2023年のCAGR(年間平均成長率)は、Windowsの3.6%に対しLinuxは9.0%と2倍以上を想定。この数値は金額ベースで、「Red Hat Enterprise Linux」など有償の商用ディストリビューションに限っての話なので、対象から外れている無償のものも含めると、LinuxはWindowsを完全に圧倒する勢いです。
    2019年には、当時のMicrosoftのAzure担当最高技術責任者(CTO)が、Microsoft Azureで稼働するLinuxがWindows Serverを上回ったことを明らかにしているほどです。

    導入拡大が進むLinuxサーバですが、データベースなどクリティカルな領域での導入が増えるにつれ、可用性や信頼性をいかに確保するかが課題となってきます。そこで登場するのがHAクラスタソフトウェアです。

    商用ソフトウェアに対するOSSのメリット/デメリット

    Linuxサーバの冗長構成を実現するHAクラスタソフトウェアですが、こちらについても商用ソフトウェアとOSSが存在し、その両方を国内展開しているのがサイオステクノロジーです。国産商用ソフトウェアとして「LifeKeeperシリーズ」を有する一方、OSSとしてグローバルで最も普及している「Linux-HAクラスタスタック」についても、LIBIT社のPacemaker / Colosync / DRBDをサポートする形で国内展開しています。

    以下では、商用ソフトウェアの代表である「LifeKeeperシリーズ」とOSSの「Linux-HAクラスタスタック」を比較しつつ、それぞれどういう企業ニーズにマッチするのか紹介します。
    >>>「Linux-HAクラスタスタック」に関するコラムはこちら 

    HAクラスタソフトウェアに限らず、そもそもOSSは商用ソフトウェアと何が違うのでしょうか。
    一般的には下記2つのメリットがあると言われています。

    1.基本的に無料で利用できる

    有償で提供される商用ソフトウェアに対し、OSSは基本的に無償で利用できます(基本的に…と書いたのは、次段落で紹介する有償サポート付きライセンスも提供されているため)。

    上述の「Linux-HAクラスタスタック」についても、構成要素であるPacemaker / Colosync / DRBD の3つはすべてOSSで、無償で導入・利用できます。しかしながら、商用サービスと同等のサポートやセキュリティ対策など、有償サービスを別途追加した結果、オールインワンの商用ソフトウェアの費用とあまり変わらなかった…というケースもよく耳にします。

    ビジネス基盤としてしっかり運用していくなら、OSSであっても、それなりにコストがかかると考えたほうがよさそうです。

    2.ソースコードが公開され、自由に改変できる

    商用ソフトウェアの多くは、ソースコードが秘匿され、自社ニーズにあわせて改変(カスタマイズ)することができません。一方OSSは、オープン・ソース・ソフトウェアの名のとおり、ソースコードが公開され、自由に改変することができます。そして、改変したソースコード自体もユーザの共有財産として公開される…この自由度・柔軟性こそ、商用ソフトウェアにはないOSSならではのメリットと言えます。

    OSSにもデメリットはあります。CLIベースの操作性など、ある程度のOSSに関するノウハウやスキルが求められる点です。コマンドベースではなく、GUIでストレスが少なく操作できるUIを望む技術者の場合は、商用ソフトウェアを選択するのが安心でしょう。

    こうしたOSSのメリット・デメリットは、3つのOSSソフトウェアの組み合わせで実現する「Linux-HAクラスタスタック」についてもあてはまります。実際、「Linux-HAクラスタスタック」と「LifeKeeperシリーズ」が競合するケースは意外に少なく、下図に示すように、ニーズに応じた棲み分けが明確に見られます。

    OSSの不安をカバーする「LINBITクラスタスタックサポート」

    前段でOSSのデメリットとして操作性を挙げましたが、もう1つサポート面の不安もネックです。メーカーによる後ろ盾がないOSSゆえ、「Linux-HAクラスタスタック」の構築・運用はすべて自己責任で行う必要があります。

    トラブルが発生した時に、コミュニティに助けを求めても、いつ回答が得られるのか、さらにそれで解決できるのかわからず、基本的に自分でなんとかするしかありません。また、セキュリティの脆弱性が発見された場合でも、商用ソフトウェアのように、メーカー公式のホットフィックス(緊急修正プログラム)が即座に提供されることはなく、自社のエンジニアが対応できなければ、セキュリティ面で不安を抱えることになります。

    無償で導入できるのは魅力だが、サポートやセキュリティが不安で…と、OSS導入に二の足を踏む企業へおすすめしたいのが「LINBITクラスタスタックサポート」です。LINBITクラスタスタックはLinux-HAとソフトウェア構成は同じですが、有料サポートがあるかないかという違いがあります。カスタマーサポートとセキュリティ対策を有償サービス化したもので、「24時間×365日のカスタマーサービス」「ホットフィックスサービス」「初期応答時間保証、インストール・設定に関するサポート(初回契約時30日間)」などが提供されます。

    小規模からエンタープライズの大規模システムまで、豊富なノウハウと実績を誇るサイオステクノロジーのエンジニアによるサポートで安心して導入することができるため、エンジニアのスキルやリソースが限られる企業でも安心して導入することができます。

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