Linuxの高可用性を実現する「Linux-HAクラスタスタック」とは?!

    Windowsなど商用OSと異なり、無償で導入と利用ができ、比較的低スペックのサーバでも動作することから人気の「Linux」。さまざまなディストリビューションが提供され、規模を問わず幅広い領域で採用されていますが、特に、大規模な基幹系システムにおいて求められるのが可用性の確保です。

    そこで、ここではLinuxシステムの高可用性を実現する「Linux-HAクラスタスタック」についてわかりやすく解説。あわせて、ノウハウやスキルに不安を抱えるユーザにおすすめのソリューションもご紹介します。

    Linux-HAクラスタスタックとは

    データベースなど止まることが許されないクリティカルなシステムでは、万が一システム障害が発生した時のためにシステムの冗長化が欠かせません。さらにダウンタイムを最小化するためには、冗長化したシステムのフェールオーバーも。「HA(High Availability)クラスタ」では、稼働系と待機系のサーバ2台でアプリケーションを含むシステムを冗長化(二重化)。稼働系から待機系に常にデータ同期をはかりつつ相互に監視。そして、稼働系にシステム障害が発生した場合、待機系を稼働系に切り替えることで業務を引き継ぎます。

    システム障害の検知をメールなどで知らせ、担当者が手動でコマンドを叩いてサーバを切り替える方法もありますが、夜間や休日の場合は対応することができず、たとえ営業時間内であっても担当者の状況次第で対応が遅れてしまう可能性があります。これでは、ダウンタイムの最小化というHAクラスタ本来の目的を達成できないため、障害発生を検知すると同時に、人の手を介することなく、自動で待機系から稼働系の切り替えをおこなうフェールオーバー機能を実装するのが一般的です。

    そして、Linuxシステムにおいて、障害発生時のフェールオーバーを実現するHAクラスタの仕組みが「Linux-HAクラスタスタック」です。

    DRBD/Pacemaker/Corosync 3つのOSSでHAクラスタを実現

    「Linux-HAクラスタスタック」は、「DRBD」「Pacemaker」「Corosync(旧Heartbeat)」という3つのOSS(Open Source Software)を組み合わせて構築します。

    まず「DRBD」ですが、これはLinux上でストレージ冗長化システムを構成するソフトウェアです。ネットワーク越しにデータの複製(リアルタイム・レプリケーション)が可能となり、遠隔地のサーバでDRサイトを実現するケースにも有効です。ただし、DRBDの役割はあくまでレプリケーションであり、これ単体でフェールオーバーすることはできません。

    そこで登場するのが、「Pacemaker」および「Corosync」です。Corosyncは、クラスタ間の死活監視(ハートビート通信)をおこなうソフトウェアで、監視情報をPacemakerに報告するのが役割です。

    一方、Corosyncからの報告を元に、平常時には各種リソース(各種アプリケーションやDBなどのミドルウェアのほかDRBDも含まれる)の管理・制御を、システム障害発生時にはフェールオーバーをおこなうLinux-HAクラスタスタックの要ともいうべきソフトウェアがPacemakerです。

    稼働系にシステム障害(異常)発生した場合…

    1. Corosyncが異常状態を検知し、Pacemakerに通知
    2. Pacemakerが、各種リソースをフェールオーバー&切り替え
    3. Pacemakerにより、DRBDがストレージを切り替え、待機系が稼働系に昇格

    という流れでフェールオーバーされ、数十秒から数分程度のわずかなダウンタイムでサービスが継続されます。

    Linux-HAクラスタスタックの詳細解説動画はこちら

    OSSならではの不安を解消する「LINBITクラスタスタックサポート」

    Linux-HAクラスタスタックのメリットは、すべて無償のOSSで実現できる点です。さらに、安定したOSSが実現する、商用HAクラスタ製品に匹敵する99.999%に迫る年間稼働率も見逃せません。

    一方で、OSSならではのデメリットもあります。構築・運用は自己責任で行う必要があり、何かあった時も基本的に自分でなんとかするしかありません。また、セキュリティの脆弱性が発見された場合も、コミュニティでホットフィックス(緊急修正プログラム)がいつ公開されるかわからないため、自社のエンジニアが対応できなければ、セキュリティ面で不安を抱えることになります。

    こうした企業に向けて提供されるサービスが、「LINBITクラスタスタックサポート」です。Pacemaker開発プロジェクトにも参加し、レプリケーションOSSの「DRBD」の開発元でもあるLINBIT社による、カスタマーサポートとセキュリティ対策の有償サービスで、国内では、日本総代理店のサイオステクノロジー株式会社が提供しています。

    具体的には「24時間×365日のカスタマーサービス」「ホットフィックスサービス」「初期応答時間保証、インストール・設定に関するサポート(初回契約時30日間)」などが提供されます。小規模からエンタープライズの大規模システムまで、豊富なノウハウと実績を誇るサイオステクノロジーのエンジニアによるサポートで安心して導入することができるため、エンジニアのスキルやリソースが限られ、自社でLinux-HAクラスタスタックを運用するのは不安…という企業におすすめです。

    >>LINBITクラスタスタックサポートの詳細を見る

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