こんにちは。
サイオステクノロジーの高田です。LifeKeeperのトレーニングを担当しています。
第1回では、DynamicDRの概要と全体の構成について説明しました。今回から実際の作業に入り、VPNおよびサーバーの配置を行います。
まずは、VPNの設定から始めます。
1.VPNの構築、設定
本検証では、オンプレミスとAWS環境をインターネットVPNで接続して利用します。VPNルーターはYamaha社のRTX1200を利用しています。
1.1 VPNルーターの設置および設定
RTX1200は予め設置している状態から利用しています。RTX1200の設定方法については、以下のユーザマニュアルをご参照ください。
なお事前に、オンプレミスおよびAWS間で必要なポートを開放しておく必要があります。
1.2 AWSでVPCおよびVPNの設定
(1)AWSのマネジメントコンソールからVPCを選択します。
(2)VPCを作成します。
(3)パブリックサブネットとプライベートサブネットおよびハードウェアVPNアクセスを持つVPCを選択します。
(4)VPC、パブリックネットワーク、プライベートネットワークのネットワーク設定を行います。
(5)VPNルーターのIPアドレスとルーティングの種類を選びます。検証環境ではBGPを使用していません。そのため、ルーティングの種類の項目で「静的」を指定しています。
(6)VPCおよびVPN作成後にトンネルのステータスを確認します。現時点では、トンネルが通っていないため、DOWNの状態です。
(7)VPN設定をダウンロードします。本検証ではYamahaのRTX1200を利用しています。利用している機器に合わせて選択します。
1.3 ルーターの設定
手順5.2(7)でダウンロードした設定をVPNルーターに適用します。 ダウンロードしたファイルコメント行を削除すると以下のようになります。
(1) ダウンロードしたファイルの一部を環境に合わせて変更します。
※TeraTermでルーターに接続して操作していましたが、文字化けしていました。 TeraTermの文字コードを「UTF-8」から「SJIS」に変更して対応しました。
変更箇所は、以下の3点です。
- tunnelの番号を利用可能な番号へ変更
本環境では既存のtunnelがあったため変更しています。デフォルトの番号が利用可能な環境の場合は、変更する必要はありません。 - ipsec ike local addressのIPアドレスをルーターのプライベートIPに変更
デフォルトではルーターのグローバルIPが割り当てられていますが、プライベートのIPに変更する必要があります。 - bgp configure refreshを削除
本検証ではBGPなしの環境であるため、本コマンドは不要です。その代わりに以下のコマンドを実施します。
上記3点を変更すると以下のようになります。この設定をVPNルーターに設定します。
(2)設定を確認します。 VPNルーター側では、show status tunnel コマンドを利用して確認します。
AWS側では、手順5.2(6)の画面で確認できます。
オンプレミスとAWSのプライベートサブネット間で通信ができるようになりました。続いては、各サブネットにサーバーを配置していきます。
2 サーバーの配置
オンプレミスおよびAWS環境にサーバーを配置します。WebサーバーとDBサーバーをオンプレミス側に2台、AWS側に2台の合計4台です。今回はCentOS 6.5を利用します。
2.1 DBサーバーの配置
DBサーバーをオンプレミス側1台、AWS側1台の合計2台配置します。DBサーバー側では以下の要件を満たす必要があります。
- データレプリケーション用の追加ディスクを配置
- DB(本検証ではMySQL)が動作可能な環境
- LifeKeeperが動作可能な環境
2.2 Webサーバーの配置
Webサーバーをオンプレミス側1台、AWS側1台の合計2台配置します。Webサーバー側では以下の要件を満たす必要があります。
- WordPressが動作可能な環境
2.3 AWSでのサーバー(インスタンス)作成手順
AWSでサーバーを作成する際は以下のように行います。
(1)AWSのマネジメントコンソールからEC2を選択します。
(2)インスタンスを作成します。
(3) マーケットプレイスからCentOS6.5を選択します。
(4) インスタンスタイプを指定します。本検証では、t1.microを利用します。
(5) VPCおよびサブネットを指定します。WebサーバーとDBサーバーでは指定するサブネットが異なります。
(6) 画面下部のプライマリIPアドレスの設定を行います。WebサーバーとDBサーバーでは指定するIPアドレスが異なります。
(7) DBサーバーのみボリュームを追加します。オンプレミス側でも同じサイズの追加ボリュームを用意します。本検証ではルートボリュームのサイズは16GBとしています。
(8) セキュリティグループを設定します。
(9) キーペアを作成します。
(10) サーバーの作成完了を確認します。
サーバーが作成できました。オンプレミス側でもサーバーを作成してください。
次回は、OSの設定とLifeKeeperを利用してクラスタの構築を行います。
>>[Linux] DynamicDR(オンプレto AWS ディザスタリカバリ環境)の実現(第3回)~サーバー設定とクラスタ化 を読む