『HULFT』を安心してクラウドへ移行するには?

    企業内や企業間のファイル連携ミドルウェアの分野で、圧倒的な国内シェアを誇るHULFT。基幹系システムを中心にあらゆるシステムで採用されているHULFTには高い可用性が求められるため、LifeKeeperによる冗長化も非常に多く採用されています。今回は、HULFTが採用されるシステムの最近の傾向や今後の展望について、株式会社セゾンテクノロジー HULFT事業部 プロダクトマネジメント部部長の石橋千賀子氏と同事業部 セールスエンジニアリング部 第一グループ シニアソリューションエンジニアの福永健一氏にお話を伺いました。

    ビジネス

    ― まずは、御社のビジネスを簡単にご紹介ください。

    石橋氏:
    セゾンテクノロジーは1970年に西武流通グループ(当時)の情報処理機能の統合と新しい情報サービス業の創造を目的として設立され、来年で50周年になります。HULFTは今年度25周年となりました。

    国内では15年連続シェア1位となっており、約83%を維持しています*1導入社数9,500社、導入本数は202,500本。導入いただいている業種は金融、製造が多く、全国銀行協会会員銀行の導入率100%*2、日本自動車工業会会員企業の導入率100%*3となっています。

    日本では15年間シェア1位を維持しています。まだまだ日本国内比率が高く、現在進めているグローバルに向けての活動を強力に進め、世界シェアとしてももっと上を目指していきたいと考えております。
    HULFTの特長の一つは品質。障害発生率は出荷本数あたり件数0.18件、リリース後の初期不良(3ヶ月以内)はゼロです。また、お客様の負担を減らすため、自己解決率の向上とサポートにも力を入れており、1次解決率が90%を超えています。

    *1 出典:株式会社富士キメラ総研「パッケージソリューションマーケティング便覧」「ソフトウェアビジネス新市場」<ファイル転送ツール パッケージ・金額ベース>2003年度実績~2017年度実績・2018年度見込み
    *2 出典:一般社団法人全国銀行協会ホームページ掲載の全銀協の会員一覧(正会員)
    *3 出典:般社団法人日本自動車工業会ホームページ掲載の会員情報

    『HULFT』の利用シーンとクラスター化状況

    ― SIOSとのこれまでの協業について伺います。御社とは10年以上前から協業させていただいていますが、どのような背景があったのでしょうか?

    石橋氏:
    製品側のクラスター対応をするのと、クラスターのメジャーベンダーへの対応を増やしていくという2本の柱を中心に考えていました。HULFTは安全安心確実ということを謳っているので、可用性を考えるとクラスターは必須だったのです。

    ― クラスター化される割合はどの程度でしょうか?

    福永氏:
    数字までは把握していませんが、大手のお客様、基幹につながるところはかなりの割合、過半数ぐらいはクラスター化していると思います。HULFT-HUB Serverではほとんどの場合クラスター化しています。HULFT-HUBの場合、中継点であるHUBが落ちると業務への影響が大きいので、できるだけ止まらないように、という要望が強くなります。

    ― HULFTのプラットフォームとしては、Windowsをはじめ、LinuxやUnixなど多岐にわたりますが、実際国内ではWindowsの割合が多いのでしょうか?

    石橋氏:
    出荷ベースで言うとWindows版がダントツで多いです。Linuxが伸びてきていますが、やはりWindowsが多いですね。Windwos65%、Linux25%くらいの割合です。

    福永氏:
    ただし大規模なお客様の場合はメインフレームをご利用の企業も多く、たとえばメインフレームが1台あればその周辺にLinuxやUnixのサーバーが数十台接続されているというケースもあります。

    ― HULFTが使われるシーンはどういったものが多いですか?

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    福永氏:
    基幹業務に関わるシステム間の連携が非常に多いです。ファイルの送達保障やファイルの破損・欠落が無く、システム間の連携が非常に安定して運用できることから、既存ユーザからは「安心感」を評価されています。また、この「安心感」という実績から企業間でのファイル送受信でもHULFTを採用しているケースが多いです。一方の企業がHULFTを使います、と言えば相手の企業も「それならば安心だ」と思っていただけるほど、信頼していただいています。特に大企業では企業内でも1,000以上のシステムを使用しており、企業間のようにシステムをつなぐことがありますが、その際にもHULFTを使うというと話が早いようですね。

    ミッションクリティカルな基幹系システムにも押し寄せるクラウド化の波

    ― まさに信頼性が重視される基幹系システムで多く使われているということですね。
    さて、従来HULFTはオンプレ環境の案件が多く、当社のHAクラスターソフトの「LifeKeeper」においてもHULFT案件はオンプレ環境が基本でした。ところが最近はクラウド移行が一般化した影響で、HULFTもクラウドの割合がどんどん増えているという感覚があります。最近の傾向でお感じの点はありますか?

     

    福永氏:
    やはりクラウドが本当に増えていると感じています。保守的な大手企業でも経営トップの判断で、クラウドをどんどん活用しろという号令がかかっているところが増えていますね。

    新システムや既存システムの更改を検討する際に、これまではプライベートクラウドや社内標準の仮想基盤などのインフラを採用するケースが多かったのですが、最近はAWSやAzureといったパブリッククラウドをまず検討し、パブリッククラウドの採用が難しいと判断された場合に別の選択肢をとるといった企業が増えています。

    ― クラウド移行が増える中、IaaSが選ばれるケースが相当数あります。背景として、まずできるだけ現状を維持してクラウドへの移行を行いたいといったお客様のご要件が多くある点が考えられます。IaaSへ移行する際にはどのような注意点が挙げられるでしょうか?

     

    福永氏:
    IaaSに関しては、オンプレのシステムをそのままに近い形で移行できるメリットはありますが、移行の際に考慮しなければならないのは業務の計画停止に関わる部分が大きいことです。IaaSに移行する際には自動でパッチ適用されるケースがありますが、意図しないタイミングでシステム停止を伴うパッチ適用が発生することがあり、それをどこまで許容できるかがそのIaaSを採用できるかどうかのポイントになる場合が多くあります。そこがマッチすれば、AWSやAzureといったパブリッククラウドを使う、どうしてもそれが許容できない場合はオンプレミスにするか、プライベートクラウドに近いものにするかですね。そのIaaSの標準を許容できないと、より高価格なプラットフォームを使うということになります。

    あともう1点注意が必要なのはIaaSの守備範囲です。IaaSはクラウドベンダーが守ってくれるのはOSのレイヤーまでです。それより上位のミドルウェアやアプリケーションのレイヤーは利用者の方で対策するしかありません。ここがとても大切なのですが、意外と知られていなかったりします。
    オンプレミスで実現している可用性をそのままクラウドでも維持したいけど、どうすればいいのかというノウハウがまだ十分に蓄積されておらず、その面でご相談を受けることが多いですね。

    クラウド上での可用性確保と『HULFT』の今後

    ― オンプレではHAクラスターを採用されていても、そのノウハウをクラウドではどう活用できるのかについてのご相談が多いでしょうか?

    福永氏:
    そうですね。例えば「共有ディスクはどうするの?」とか、「どうやって切り替えるの?」といったように、オンプレなら分かるけどクラウドならどうなるのかについてのご質問をよくいただきます。

    ― 確かにクラウド環境だと基本的に共有ストレージは使えないですよね。
    あと、例えばAWSだとオンプレミスには無いAZ(Availability Zone)やDirect Connectなどの要素がたくさんあるので、お客様から見れば「これって全部作り込まないといけないの?」とご心配になるでしょうね。

    ― AWS環境では、障害が伝播しないAZを跨いだHAクラスター構成が非常に高い可用性を実現するので望ましいのですが、AZを跨ぐということはサブネットも跨ぐことになり、実際には高度な制御が必要になってしまいます。
    当社のHAクラスターソフトの「LifeKeeper」とデータレプリケーションソフトの「DataKeeper」を中心とした高可用性ソリューションはいち早くクラウド環境に対応しており、特にAWS向けには、製品の標準機能でAZを跨いでHAクラスターを構築できるので、開発の必要はありません。
    これにより、御社でもお客様にご提案しやすく、実際に構築されるSIer様のご負担も減らせるメリットは大きいでしょうか?

    福永氏:
    はい、大きいですね。ノウハウや、こういうパターンでやればうまくいくという方法を数枚の資料で説明するだけで、「ああ、なるほど!」という反応があります。やはりお客様自身も、AWSやAzureなどの自分たちが使うプラットフォームについては色々と調査されていて要素的なことは押さえていますが、自分たちがやりたいことを実現するためには、そのクラウドの要素をどう使えばいいかという点がまだこなれていません。そういった時にノウハウの資料を提示すると、「これだったらできるのか!なるほど」という感じになり、大抵の場合納得してくださいます。

    ― HULFTを使っているという時点ですでにお客様は安心されている上に、さらに作り込みの必要なく、標準機能でできるもので実績がある、というプラス要素になっているということですね。お役に立ててうれしいです。

    さて最後になりますが、今後はどのような機能を考えているか、クラスター以外でも今後のプランやご意見があればお聞かせください。

    福永氏:
    いままでオンプレミスで培ってきたHULFTですが、クラウドへの移行が増え、インターネット自体もファイル連携の通信インフラとしてどんどん業務システムとしても組み込まれる通信インフラになってきています。また、データの活用度がどんどん増えていますので、今のHULFTだけでなく、今後は今の時代に適応したHULFTでのファイル連携が要請されていると考えています。一例として、クラウドサービスにデータを直結させるとか、多数の端末から高頻度でファイル連携させるなどがあり、ビッグデータを活用していく時代に合わせてファイル連携の機能や利用しやすさも進化させていくことが会社の方針としてあります。これまでのHULFTの安全・安心の価値を、これからの時代にどう合わせていくか。SIOSの場合は、新しい時代に合わせた可用性の高め方といったものがあると思います。そのあたりで、色々と協業できるのではないかと考えています。

    最近当社では、クラウド、AI、ブロックチェーン、ビッグデータなどといった分野に着目しており、このような分野でもファイル連携でコミットして時代にキャッチアップしていくことになると思います。

    ― 本日はお忙しいところ、大変貴重なお話をありがとうございました。

    福永様(左)、石橋様(右)、貴重なお話をありがとうございました!
    福永様(左)、石橋様(右)、貴重なお話をありがとうございました!

    関連情報

    下記ソリューション専用サイトで詳細をご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

    関連資料:https://mk.sios.jp/BC_DL_HULFT.html

    HULFT連携ソリューションサイト:https://sios.jp/products/lkdk/solution/s_hulft.html

     

    お問い合わせ

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    →[お問い合わせ窓口] https://mk.sios.jp/BC_Web_Free-entry_Inquiry.html

     

     

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    石橋千賀子氏

    HULFT事業部 プロダクトマネジメント部部長

     

     

     

     

     

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    福永健一氏

    HULFT事業部 セールスエンジニアリング部 
    第一グループ シニアソリューションエンジニア

     

     

     

     

    株式会社セゾンテクノロジー社について

    企業サイト:http://home.saison.co.jp/

    HULFTについて

    製品サイト:https://www.hulft.com/ 

     

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