2017年8月29日に、『OSS+SBクラウドを活用し、重要業務システムをバックアップ ~「止められないシステム」「消えてはいけないデータ」をアクシデントから守る方法』セミナーが開催されました。
セミナー第2部『クラウド環境「Alibaba Cloud」で必要時のみ作成するDR環境』の主要トピックについてレポートします。
クラウド環境「Alibaba Cloud」で必要時のみ作成するDR環境
今回は「クラウドの特性を活かして必要時にDR環境を構築する方法」について、Alibaba Cloudを例に紹介します。
Alibaba Cloudとは
「Alibaba Cloud」は、中国のAlibaba社が提供しているクラウドサービスです。
Alibaba社は、中国No1とも言われるインターネットカンパニーで、数多くのサービスを展開しています。「Alibaba Cloud」は、中国の人口に対応できる巨大なサービスインフラとして利用されています。
グローバルインフラストラクチャ
「Alibaba Cloud」は、中国/アメリカ/シンガポール/オーストラリアなど、世界13カ国の地域で利用できます。日本では、2016年12月に、東京リージョンとして開設され、サービスを利用できるようになっています。
SBクラウドは、「Alibaba Cloud」の日本展開やマーケティング戦略を担当しています。
DRに関してクラウドにおける重要な概念
DRとクラウドにおいて重要となる3つの概念について紹介します。
①リージョン(REGION)
「リージョン」とは「地域単位のクラウドサービス提供エリア」を意味します。国、もしくは、距離的に離れた地域で区切られています。
②アベイラビリティゾーン(AZ:AVAILABILITY ZONE)
「アベイラビリティゾーン」とは「同一リージョン内で分けられた区域」を意味します。同一リージョン内に複数のデータセンターが配置され、仮に1つのデータセンターが災害などで機能不能となっても、同一リージョン内の別のデータセンターでサービス継続が可能です。
③必要な時にリソースを調達できる
クラウドでは、必要な時に必要なだけのサーバ/ストレージリソースを調達できます。「キャンペーン実施のために2ヶ月間のみサーバリソースを増強する」などの使い方が可能です。DRの観点では「DRサイトが必要になった時だけサイトリソースを確保する」という運用を行うことができます。
「クラウドだからDRを作らなくていい」ということではない
DRサイトの構築については、システム要件やDR要件に応じて、ケースバイケースで変わります。「クラウドだからDRを作らなくていい」ということではなく「DR構築手段としての選択幅が広がる」と考えてください。
DRサイト例(パイロットライトパターン)
DRサイト(リージョンB)に、データベースサーバのみを立てておき、メインサイト(リージョンA)とのデータ同期が行われるようにしておきます。災害などが発生してメインサイト(リージョンA)が機能停止状態になった場合、DRサイト(リージョンB)のアプリケーションやネットワーク部分を構築起動して、サービスを継続するパターンです。データの信頼度を考えると、このパターンでも十分に、低コストDRサイトを構築できます。
「クラウドを使用するDRサイト構築」に関する主なポイント
「クラウドを使用するDRサイト構築」について考慮すべき主なポイントが2点あります。
①「データバックアップ」と「DR環境先への同期」
データの扱い方についてのポイントです。「対象システムのデータ更新頻度」「どの程度のデータ欠損まで許容されるのか?」などの要件により、DRサイト構築方法が変わってきます。
②システム再現性の確保
データだけバックアップされていても、サービスとして稼働させるシステムが動かなければ、DRサイトとして機能しません。そこで、「DRサイト側でどのようにしてシステムを再現するのか?」が重要なポイントです。手作業構築は、効率的ではなく、ミス発生確率も高まります。そのため、システム再現性を高めるオープンソースツールなどの活用が有効です。事前に準備しておくことにより、10分程度で、システム再現作業を完了できます。
まとめ
クラウドでのDR構築には、さまざまな方法があります。DRサイト構築方法選択肢を増やすための1つの手段として、クラウドをご検討ください。
【目次】クラウドDRサイト構築セミナー
- (第1部)災害による重要業務データ消失を防ぐクラウドDRサイト
- (第2部)クラウド環境「Alibaba Cloud」で必要時のみ作成するDR環境
- (第3部)DRBDによるDRサイトとのデータ同期