クラウド移行の隠れた注意ポイントは「運用」にあり?!

    システムを開発、改修する際には、要件を整理する必要があります。「クラウド移行ありき」でプロジェクトを進めても、思ったような成果が得られないリスクがあるからです。要件の整理には、文章をまとめるときにいわれる「5W1H」の考え方を使うといいでしょう。

    クラウド移行の5W1H

    Who(誰が使い、誰が責任を持つか)、What(何を目的とするか)、When(いつまでに完了させるか)、Where(どの範囲でプロジェクトを実行するか)、Why(そもそもなぜプロジェクトが必要なのか)、How(どのように実現するか)をそれぞれ整理することで、関係者の間でプロジェクトの姿の共通認識を得ることができます。

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    クラウド移行の前に検討すべき3つのこと

    こうして要件を整理した後に、具体的なHowについての取り組みが始まります。オンプレミスからパブリッククラウドサービスに情報システムを移行するとなると、Howの部分だけでも検討が必要な課題が数多く出てきます。

     

    1. そもそもクラウドに移行できるのか

    2. クラウド移行後も他のシステムとの連携に支障がないか

    3. ネットワークやセキュリティの課題を解決できるか

    まず既存のシステムやアプリケーションが、クラウドに移行できるかどうかの検討が必要です。さらに、クラウドに移行するシステムやアプリケーションと連携していた他の社内システムなどと、移行後もスムーズに連携が維持できるかどうかも考えなければなりません。

    ネットワークやセキュリティについても、検討が求められます。オンプレミスで社内に閉じていた情報システムをパブリッククラウドサービスに移行するとなると、ネットワーク構成や利用するネットワークサービスの選択は重要なポイントになりますし、自社のセキュリティポリシーへの適合なども一から再検討しなければなりません。

    こうした課題は、「クラウド移行」のその瞬間までに解決している必要があります。情報システム担当者にも強く意識される課題です。システムやアプリケーションの移行、ネットワーク、セキュリティと課題を乗り越えて、情報システムのクラウド移行が実現すると、情報システム担当者はホッと胸をなでおろすことでしょう。

    ずっと続く「運用」について考えることの必要性

    ここまで見てきたクラウド移行の課題は、移行時の一過性の課題だと言えるでしょう。工数は多く、集中的に負荷がかかりますから、この課題解決に奔走することになるのも事実です。それでは、クラウド移行を実施した後には課題は残らないのでしょうか。ここで見落としがちなのが、運用についての課題です。

    「パブリッククラウドサービスを使っているから、運用、それも障害対応は事業者側がやってくれるだろう」。そう考えている情報システム担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。その考えは、ある部分では正しいのですが、すべてにおいて正しいとは言い切れません。クラウド移行後の運用について考えておかないと、目の前にサーバーがあったオンプレミス時代とは異なる環境に四苦八苦するリスクがあるのです。

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    例えば、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のサービスの1つで、クラウド上の仮想サーバーを利用する「Amazon EC2」について考えてみましょう。EC2では、インフラに対して高いサービスレベルアグリーメント(SLA)を提供し、安定した運用が可能です。ハードウエアやOSの監視/復旧は、AWSが標準で提供する「Amazon CloudWatch」「Auto Recovery」などの機能により実現しています。しかしハードウエアやOSといったインフラが高い可用性で稼働できたとしても、AWSはその上で動くサービスやアプリケーションの面倒までは見てくれないのです。長く続く運用フェーズでは、クラウド移行した業務アプリケーションが落ちてしまうリスクはゼロではありません。対策を施しておかないと、機会損失や顧客とのトラブルの原因にもなってしまいます。

    アプリケーションの監視/復旧の専門サービスを活用

    AWSが面倒を見てくれないアプリケーションやサービスのトラブルに対応するといった運用上の課題を解決する1つのソリューションが、AWSのアプリケーション監視サービスの利用です。代表的なソリューションとして「SIOS Coati」があります。

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    SIOS Coatiはアプリケーション監視サービスとして、AWS上で提供されているクラウドサービスです。ユーザーが利用しているEC2上の仮想サーバーと接続して、稼働中のサービスとアプリケーションを監視します。監視状態はWebブラウザで見られるダッシュボードからシンプルなユーザーインタフェース(UI)によって確認できます。

    監視中にサービスやアプリケーションが落ちた場合も、SIOS Coatiならば人手がいらず運用を続けられます。障害を検知したSIOS Coatiは、まずサービスやアプリケーションを自動的に再起動させて復旧を試みます。これで復旧すればまた監視状態に戻ります。サービスやアプリケーションの再起動でも復旧しない場合は、仮想サーバーのOSを再起動するなどの措置で復旧に務めます。すなわち情報システム担当者は、SIOS Coatiから障害復旧のメール通知を受け取るだけで済むのです。

    一般的にシステムの運用が始まったら、情報システム担当者はいつ起こるかわからない障害と向き合う時間がずっと続きます。物理的に手元のサーバーを再起動するといった古典的な手法が取れないパブリッククラウドサービスの利用では、自動的に障害を検知して復旧してくれるSIOS Coatiのようなアプリケーション監視サービスを併用することで運用負荷の軽減につなげられるのです。

    関連情報

    AWSかんたん運用自動化サービス SIOS Coati

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