クラウド上でのデータ引き継ぎ方法の課題と対策

    皆さんこんにちは。プリセールス担当の西下です。

    この記事をご覧になられている方の中には、オンプレミスからクラウド(IaaS)へのシステム移行(いわゆるクラウドリフト)を検討されている方がいらっしゃるかと思います。止められないデータベース(OracleやSQL Serverなど)やミドルウェア(JP1やHULFT、SAPなど)に対しては、冗長構成(HAクラスター構成)を検討されることもあるかと思います。(例:Windows Server標準のHAクラスター機能のWSFC)オンプレミスであれば、クラスターノード間のデータの引き継ぎは、共有ストレージを使うことが多いですよね?

    <概念図:オンプレミスで多いWSFCによるHAクラスター構成(共有ストレージを使用)>

    しかし物理的な共有ストレージは、AWSやAzureといったパブリッククラウド環境に持ち込んで使うことはできません。それではどのような方法を採ればよいのでしょうか?本ブログではその方法について分かりやすくお伝えします。
    (以下、各クラウド環境毎に文を完結しておりますので目次より選択してください)

    各クラウド共通の方法

    クラウド(IaaS)環境には物理的な共有ストレージを持ち込んで使えないことは冒頭で書きました。代わりの方法には何があるでしょうか?求められる要件としては下記が考えられます。

    • 共有ストレージと同等の手順で構築できること
    • 導入実績が豊富であること
    • サポートがしっかりしていること 

    これらを全て満たすのが、当社製の「DataKeeper(データキーパー)」です。DataKeeperは、クラスターノードのローカルディスク同士をブロックのレベルでリアルタイムに同期することで、「論理的な共有ストレージ」として扱えるようにします。その特徴は次のとおりです。

    • 共有ストレージと同等の手順で構築できるので、既存のナレッジを活用できる
    • AWSとAzureで350件以上の導入実績
    • 商用製品ならではの手厚いサポート

    DataKeeperにより論理的な共有ストレージが提供されることで、オンプレミスと同様の手順でHAクラスター製品を使って仮想インスタンスを冗長化することができます。DataKeeperに対応しているHAクラスター製品は、前述のWindows Server標準のWSFCの他に、当社製の「LifeKeeper(ライフキーパー)」があります。

     

    <概念図:IaaS向けのWSFCによるHAクラスター構成(共有ストレージの代わりにDataKeeperを使用)>

    <概念図:IaaS向けのLifeKeeperによるHAクラスター構成(共有ストレージの代わりにDataKeeperを使用)>

    サポートしている構成はクラウド環境ごとに異なります。詳細は以降の各章をご覧ください。

    ■Amazon EC2の場合

    Amazon EC2上では物理的な共有ストレージは使えません。よって、Actvie/Standbyのクラスターノード間のデータの引き継ぎ(共有)には物理的な共有ストレージに代わる方法が必要になります。

    EBSのマルチアタッチ機能がAWS環境での共有ストレージに該当しますが、AZを跨いだ構成に対応していないなど制約があり、より高い可用性を実現するにはAZを跨いだ構成が前提のDataKeeperが適していると言えます。

    DataKeeperは、ActiveノードとStandbyノードにローカルディスクとして紐付いているEBS同士を、ブロックのレベルでリアルタイムに同期することで、論理的な共有ストレージとしてHAクラスター製品に認識されます。AWS環境ではHAクラスター製品はLifeKeeper(Linux版およびWindows版)とWSFCがサポートされています。

    <概念図:Amazon EC2上での構成例>

    当社ではこれまでにAmazon EC2上でLifeKeeperやWSFCとDataKeeperを組み合わせた構成を250件以上の導入実績がありますので、安心してお使いいただきます。

    事例や構築手順などの詳しくはこちらをご参照下さい。→[AWS連携ソリューション]

    ■Microsoft Azureの場合

    Microsoft Azure上では物理的な共有ストレージは使えません。よって、Actvie/Standbyのクラスターノード間のデータの引き継ぎ(共有)には物理的な共有ストレージに代わる方法が必要になります。

    Azure Shared Disks(以降「ASD」)がAzure環境での共有ストレージに該当し、少しずつ浸透してきているので、今後HAクラスターで使うことが増えるかもしれません。当社ではASDで既に動作を試した結果をブログで公開しています。

    →[LifeKeeper for LinuxでAzure Shared DisksによるHAクラスター構成を組んでみた]

    →[WSFCとAzure Shared DisksによるHAクラスター構成をやってみた]

    ASDを使った冗長構成は可用性ゾーンを跨いだ構成が採れない制約があるので、データセンター全体に影響する障害に対応する必要がある場合は注意が必要になります。

    DataKeeperは、ActiveノードとStandbyノードにローカルディスクとして紐付いている仮想ディスク同士を、ブロックのレベルでリアルタイムに同期することで、論理的な共有ストレージとしてHAクラスター製品に認識されます。Azure環境ではHAクラスター製品はLifeKeeper(Linux版およびWindows版)とWSFCがサポートされています。

    <概念図:Azure上での構成例>

    当社ではこれまでにLifeKeeperやWSFCとDataKeeperを組み合わせた構成を100件以上の導入実績がありますので、安心してお使いいただきます。

    事例や構築手順などの詳しくはこちらをご参照下さい。→[Azure連携ソリューション]

    ■Google Cloudの場合

    Google Cloud上では物理的な共有ストレージは使えません。よって、Actvie/Standbyのクラスターノード間のデータの引き継ぎ(共有)には物理的な共有ストレージに代わる方法が必要になります。

    DataKeeperは、ActiveノードとStandbyノードにローカルディスクとして紐付いている仮想ディスク同士を、ブロックのレベルでリアルタイムに同期することで、論理的な共有ストレージとしてHAクラスター製品に認識されます。Google Cloud環境ではHAクラスター製品はLifeKeeper(Linux版)とWSFCがサポートされています。

     

    <概念図:Google Cloud上での構成例>

    Google Cloud上での構築手順などの詳しくはこちらをご参照下さい。→[Google Cloud連携ソリューション]

    ■Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の場合

    OCIの特徴として、共有ストレージ構成(Multi Attached)が使えます。これによりオンプレミスと同等のHAクラスター構成をクラウド上でも使うことができます。

    当社ではOCI上で共有ストレージ構成によるHAクラスター構成を検証済みです。HAクラスター製品は当社製品のLifeKeeperを使用しています。検証レポートはこちらからご入手いただけます。→[Oracle Cloud Infrastructure関連資料」のダウンロード]

    上記検証レポートでは、共有ストレージ構成に併せて、DataKeeperを使用した構成も紹介されています。

    DataKeeperは、ActiveノードとStandbyノードにローカルディスクとして紐付いている仮想ディスク同士を、ブロックのレベルでリアルタイムに同期することで、論理的な共有ストレージとしてHAクラスター製品に認識されます。OCI環境ではHAクラスター製品はLifeKeeper(Linux版)がサポートされています。

    <Oracle Cloud Infrastructure上での概念図>

     

    Oracle Cloud Infrastructureの特徴や構成の詳細はこちら→[Oracle Cloud Infrastructure連携ソリューション]

    さいごに

    いかがでしたでしょうか?高可用性を実現する冗長構成を組むにも、
    ・それぞれのクラウドごとにできることの特徴がある
    ・検討すべきことがそれぞれの異なる

    ということを理解して頂けたかと思います。
    「パブリッククラウドで高可用性を実現する方法をよく知りたい?」、「初めてのクラウド移行で不安だ」・・・という方はお気軽にこちらからお問い合わせください。

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