クラウド移行の「現在地」と「目的地」

    寄稿:米国サイオス VP  Cassius Rhue
    ※この記事は翻訳されたものです。本記事の原文はこちら

    そのシステムのクラウド移行は「クラウド移行」することが目的でしょうか?それとも更なる目的がありますか?クラウド移行の「現在地」と「目的地」という考え方について米国SIOSのCassiusが解説します。
    クラウドと高可用性への取り組みにおいては、作家であり起業家でもあるNilofer Merchant氏のアドバイスも参考にされることをお勧めします。

    目的地にたどりつく方法

    ある時、3日間の間に、私は何度も同じ質問をされました。「そこへ行くにはどうやって行ったらいいの?」と。上の娘が学校の行事の待ち合わせ場所への行き方を聞いてきたのを皮切りに、下の娘が店に行くルートを聞いてきたり、最後には長女が州内のある場所への行き方を尋ねてきました。どれも同じ質問だったのですが、それぞれのケースで、質問の文脈と期待されている答えが大きく異なっていました。

    作家であり起業家でもあるNilofer Merchant氏が言うように、「どうやってそこに行くのか」という問いに対する答えの多くは、「目的地」だけでなく、その人の「現在地」によっても変わってくるのです。

    使用しているアプリケーションの「現在地」は?


    アプリケーションを目的地に(クラウドに、あるいはクラウドでより高い可用性を得るために)移行する方法を考えるための最初のステップは、「現在地」を正しく理解することです。

    さて、皆さんの「現在地」はどこでしょうか?この質問に対する答えは、娘たちとの会話の中での場所のように、様々なものになるでしょう。娘の一人は自宅、別の娘は別の州のある地点、末っ子は(ミルクセーキが飲めることを期待して)理にかなった出発地点を想定して質問していました。

    自分の「現在地」の定義や詳細を考えるために、まず基本的な質問をしてみましょう。

    1. 重要なアプリケーションは何ですか?そしてそれはどのように保護されていますか?
    2. アプリケーションの高可用性保護の導入状況は?
    3. 重要なデータはどのように保護されていますか?
    4. 現在のチームの規模はどのくらいですか?
    5. アプリケーションやデータを保護するためのソリューションやサービスについて、どの程度自信がありますか?
    6. 現在、重要なエンタープライズシステムやアプリケーションのワークロードはどこで実行されていますか?
    7. オンプレミスの場合、それはオンプレミスサーバーですか、それとも仮想マシンですか。あるいは、プライベートクラウド、または高可用性に対応していないパブリッククラウドでしょうか?
    8. クラウドへの移行と、今後のクラウドでのアプリケーション管理のための予算はどの程度ですか?
    9. 「現在地」で感じている苦労、不安感、不満足感はどのようなものですか?

    「現在地」を定義することは、より良い「目的地」への道を見つけるための出発点です。あなたの「現在地」を形成しているもの、定義しているもの、制限しているもの、パラメーター内に存在するものは何かを考えてみてください。

    「現在地」とは、複数の製品の展開、グローバルITチームのインフラ、またはその他の複数の拠点、複数のオフィスの配置のことでしょうか?チームはグローバルに分散しているのか、外注されているのか、あるいはそれを組み合わせたものでしょうか?そして「現在地」を見たとき、どのようなことが目につきますか?チーム、会社、製品はどのような段取りを取り入れていますか?トレーニング不足、冗長性の欠如、アーキテクチャガイドの不備、既存のソリューションへの失望、クラウドの複雑さなど、重要であり頻繁に繰り返されている問題点は何でしょうか?

    「目的地」はどこか ― プライベート、パブリック、ハイブリッド、またはマルチクラウド


    自分の「現在地」を把握した後、Merchant氏の記事に書かれている第2のステップは、「『目的地』がどのようなものであるかを把握すること」です。私はカスタマーエクスペリエンス担当バイスプレジデントとして、多くのお客様と仕事をしてきましたが、お客様が求める「目的地」とは、計画的・計画外を問わずダウンタイムがゼロの環境や、アプリケーションのフェイルオーバーがシームレスに実行され、2分以内に完了する環境です。

    また、ダウンタイムを5~9分以内に抑えることを希望するお客様や、障害通知への対応に基づいて手動でオーバーライドできるオプション付きでより長い時間を希望するお客様など、それほど高くない目標を設定している企業もあります。また、より精度の高い通知、明確な解決策や推奨事項、アプリケーション固有のオーケストレーション、ベンダーやパートナーの専門家によるチームの増強などを備えた「目的地」を求めるお客様もいます。では、皆さんの「目的地」にはどのような機能が必要でしょうか?予算内で実装できるのは何でしょうか?

    確認した「現在地」の状態に目を通したとき、何が一番目につきましたか?
    あなたのチーム、企業、可用性、データセンター、そして人生の未来をより望ましいものにするために、「現在地」のどの課題に取り組む必要があるのでしょうか?「目的地」には、回復力や冗長性の向上、より多くのアプリケーションのオーケストレーション、より優れたアナリティクス、あるいはコストの削減などが含まれていますか?プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、マルチクラウドは「目的地」のどこに組み込まれますか?「目的地」に到達することで、「現在地」はどのように改善されますか?

    「現在地」から「目的地」へ


    Merchant氏は最後のステップとして、「『現在地』から『目的地』までたどり着く方法を見つける」ことを挙げています。 「現在地」を困難だと感じているなら、「目的地」を考えることに注力するのは意味があります。つまり、単にアプリケーションをクラウドに移行するだけでなく、すべての期待に応える結果を得るために必要なリソースとサービスを検討するのです。専用の高可用性ソリューションを専門とするベンダー、ソリューションプロバイダー、サービスチームや企業は、「目的地」に到達するためのサポートを提供してくれるということを心に留めておいてください。

    私の娘たちの「目的地」へ行くのとは違って、クラウド移行への「現在地」から「目的地」までの道のりを計画するための地図アプリというものはありません。しかし、皆さんの苦労や不満、予算の制限などの現状と、求める結果の両方を注意深く考えることで、単なるクラウドの移行以上のソリューションに到達することができます。それはつまり、アプリケーションの障害やダウンタイムへの不安、トラブルシューティングやエンドユーザーからのクレームなどの煩わしさから解放され、より満足度の高い毎日を送ることができるということです。

    アプリケーションのクラウド移行を計画する際にMerchant氏のアドバイスを取り入れることで、より強固なアーキテクチャの定義、HA ソフトウェアソリューションの変更、サービスプロバイダーによる支援、マルチクラウドやハイブリッドクラウドまたはその他のクラウドモデルへの移行など、さまざまな可能性が見えてきます。さらには、自社のデータセンターに戻ることも考えられます。

    最後に

    20年以上にわたり、SIOSは企業がオンプレミス、クラウド、ハイブリッドクラウド環境で重要なアプリケーションの高可用性災害復旧保護を実装することをLifekeeper」「LINBITクラスタスタック・サポートなどのソリューションによって支援してきました。私たちは、お客様のアプリケーションのHAとDRの取り組みを「現在地」から「目的地」へ、そしてその先へと導くための専門知識を提供することができます。詳細については、SIOSまでお問い合わせください。