オープンソースHAクラスタソフト「Pacemaker」 OSSならではのメリット/デメリットを解説

    止まることが許されないクリティカルなシステムにおいて、高可用性を実現するHAクラスタソフトウェア。さまざまな製品が提供されるなか、商用ソフトウェアに匹敵するファイブ・ナインの可用性をライセンスフリーで実現し、人気を集めているのが「Pacemaker」です。この記事では、同製品のOSSならではのメリット/デメリットについて解説します。

    Pacemakerとは?!

    「Pacemaker(ペースメーカー)」は、OSS(オープンソースソフトウェア)のHAクラスタソフトウェアで、主要Linuxディストリビューションに同梱されるほか、ClusterLabsによって配布されています。

    HAクラスタ環境では、複数のサーバをネットワークでつないでデータレプリケーションし、片方のサーバで故障を検知した場合、自動的にもう片方のサーバへ切り替える(フェイルオーバーする)ことで稼働率向上が可能です。

    サービス(アプリケーション)/IPアドレス(ネットワーク)/データアクセス(ディスク)といったリソース制御機能を有する「Pacemaker」と、同じくOSSで、システムノード死活監視機能を提供する「Corosync」やネットワーク越しのミラーリングを行う「DRBD」を連携させることにより、OSSのみでHAクラスタ環境(Linux-HAクラスタスタック)を構築できます。

    「Pacemaker」の特長として、各リソースの起動/監視/停止といった制御を司る“専用リソースエージェント”が同梱され、標準で主要なアプリケーションのHAクラスタ化を実現することが挙げられます。このほか、商用ソフトウェアと同等の稼働率(ファイブナインにも対応)や安定性、2ノードから最大32ノードまでに対応する拡張性などにすぐれ、国内はもとよりグローバルで高い人気を誇ります。ユーザを中心としたコミュニティも盛んで、国内ではLinux-HA Japanプロジェクトというコミュニティが情報発信支援などを行っています。

    OSSならではのメリット・デメリット

    ライセンスフリーで導入できるOSSの「Pacemaker」ですが、そのメリットはコスト面だけではありません。ソースコードが公開されており、既存の監視ツールと連携させてよりきめ細かなシナリオに対応するなど、個社ニーズに対応したカスタマイズが可能です。また、Pacemakerの仕様に準拠したリソースエージェントを独自に作成すれば、あらゆるリソースのHA構成を実現できる点も魅力です。

    一方で、メーカーによる後ろ盾がないOSSゆえのデメリットと言えるのが、サポート面の不安です。構築・運用はすべて自己責任で行う必要があり、トラブル発生に際しコミュニティに助けを求めても、いつ回答が得られるのか、それで解決できるのかもわからず、基本的に自分でなんとかするしかありません。実際、障害時にフェイルオーバーしなかった、誤動作が発生する…といったトラブルの例もあるようです。また、プログラムの不具合が発見された場合でも、商用ソフトウェアのように、メーカー公式のホットフィックス(緊急修正プログラム)が即座に提供されることはなく、自社のエンジニアが対応できなければ、品質面の不安を抱えることになります。

    エンジニアのスキルやリソースが限られる企業や、止まることが許されないクリティカルなシステムを抱える企業にとっては、こうした点が導入を躊躇する理由となっているようです。

    「LINBITクラスタスタックサポート」で、OSSのデメリットを解消

    無償で導入できるのは魅力だがサポートやセキュリティが不安で…と、二の足を踏む企業にお勧めするサービスがあります。Pacemaker開発プロジェクトにも参加し、レプリケーションOSSの「DRBD」の開発元でもあるLINBIT社が提供する「LINBITクラスタスタックサポート」です。OSSならではの2大不安要素、カスタマーサポートとセキュリティ対策を有償サービス化したもので、国内では日本総代理店のサイオステクノロジー株式会社(以下、サイオステクノロジー)が提供しています。

    具体的には「24時間×365日のカスタマーサービス」「ホットフィックスサービス」「初期応答時間保証、インストール・設定に関するサポート提供(初回契約時30日間)」などが提供されます。小規模からエンタープライズの大規模システムまで、数百社以上のサポート実績を誇るサイオステクノロジーのエンジニアによるサポートで、安心して導入することができます。

    なお、「LINBITクラスタスタックサポート」には、3種類のサポートレベルと4種類の製品が用意されています。詳細を動画でご覧いただけますので是非ご活用ください。