「AWSやAzureのデータをバックアップする方法」について
シンプルクラウドでのバックアップのリスクとともに紹介します。
シングルクラウドでのリスク
クラウド内にドキュメントファイルを保存する企業は増えています。
従来であれば、企業におけるドキュメントファイルなどは、自社内のオンプレミスファイルサーバに保管するのが常識でした。
しかし、近年では、「AWS」や「Azure」などのクラウド内にドキュメントファイルを保存して、クラウドファイルサーバとして利用する企業が増えています。性能面、コスト面、そして、セキュリティ面においても実用できるレベルになってきているためです。
クラウドをメインのファイルサーバとして利用する場合、考慮しなければならないリスクがあります。
リスク(1) データ消失
プライベートクラウドでも、パブリッククラウドでも、「データ消失」というリスクがあります。クラウドとしてバックアップ機能は用意されていることが多いですが、100%安全に完全に復旧できるとは限りません。最悪の場合、全データ消失のリスクはあります。
リスク(2) データ復旧時間
クラウドサイトにおいて障害が発生して、バックアップデータから復旧できることになったとしても、復旧されるまでの間は、対象ファイルにアクセスできなくなります。
大規模障害が発生してしまった場合、数時間以上、数日間以上、自社のファイルにアクセスできなくなるというリスクもあります。
大規模データ消失事例
2012年に、日本国内の大手レンタルサーバサービスにおいて、大規模なデータ消失事案が発生しました。
レンタルサーバにアップロードされていたドキュメントファイル、設定ファイル、メールデータなどが消失し、バックアップデータも消失していました。長期間に渡る調査の結果、契約数の1割のデータが復旧不能という状態に陥りました。
自社でバックアップを保存しておかなかった利用企業は、完全消失という事態になってしまいました。
マルチクラウドにデータをバックアップしておくメリット
1つのクラウドサービスのみ利用する場合は、上記のようなリスクが発生する可能性が高まります。そこで、マルチクラウドにデータをバックアップしておく策が有効となります。
複数のクラウド内にバックアップ
異なる複数のクラウドサービス内にバックアップするように構築すれば、上記のようなリスクを大幅に低減することができます。
例えば、AWS/Azureクラウド内のデータについて、「クラウドサービスA」と「クラウドサービスB」に同一のバックアップを保存すれば、万が一、AWS/Azureクラウドがダウンしても、バックアップを使用できます。また、「クラウドサービスA」が完全にダウンした場合でも、「クラウドサービスB」を使用して、通常通りの企業活動を継続できます。
ディザスタリカバリの観点から、実際のサーバが存在する地域が「クラウドサービスA」と「クラウドサービスB」で異なるようにしておくなどの考慮が必要です。
DRBDでのバックアップ
「DRBD」とは
ネットワークを通じてストレージデバイスをリアルタイムに複製同期するオープンソースストレージバックアップソリューションです。
「DRBD」+「DRBD Proxy」オプションで、高速なオンプレミスバックアップが可能です。クラウドバックアップにも対応しています。
商用製品に匹敵する機能/性能を備えながら、オープンソースベースであるため圧倒的な低コストでバックアップシステムを実現できます。
「DRBD」導入事例
「DRBD」は、オープンソースバックアップソリューションの代表格であり、多くの導入実績があります。
- 大阪-九州間 PostgreSQLトランザクションデータのDR(ディザスタリカバリ)バックアップ
- 北海道-東北間 ファイルサーババックアップ(350TB)
- 大阪-東京間 8TB×2 相互バックアップ
まとめ
「クラウドは安全だからデータ消失が起こることはない」という考えは危険です。
クラウドであっても、データ消失リスクは存在し続けます。そのリスクをできる限り低減するために、バックアップソリューションなどを活用し、常に最悪の事態に備えることが必要です。
ディザスタリカバリできるバックアップシステムの構築は、企業にとっての必須命題となっています。