「マルチクラウド対応統合管理ツール」についての説明と
代表的なツール「Hinemos」と「JP1」を紹介します。
「マルチクラウド」とは
概要
マルチクラウドとは、複数の異なる事業者のクラウドサービスを併用することを意味します。用途別/システム別に使い分けたり、連携させるなどして一体的運用を行います。
メリット
「最適サービスを組み合わせることができる」「可用性を向上できる」などのメリットを享受できます。
デメリット
「各クラウドサービスごとに管理ツールが異なる」「運用管理者は各クラウドサービスごとに使い方をマスターしなければならない」などの要因で、管理が煩雑となり全体の運用コストが高まってしまうというデメリットがあります。
マルチクラウド対応統合管理ツール
統合管理ツールとは
それぞれのクラウドサービスで用意されている管理ツールを使うのではなく、1つのツールのみで複数の(パブリック/プライベート)クラウドサービスを統合的統括的に管理できるツールです。
統合管理ツールとしての主な機能
次に示すような各機能が相互に連携して、統合的管理サポートを実現します。最近では、(パブリック/プライベート)クラウド環境への対応が進んでいます。
(1) 「システム監視」機能
サーバ/OSなどのシステムに関する情報収集/早期障害発見を支援します。
CPU/メモリ/ディスクの稼働状況を監視/収集します。監視管理対象の広さ(監視対象にできるハードウェア/ソフトウェアの種類数)と、情報精度(どれだけ細かい基準でデータ収集ができるか)がポイントとなります。
(2) 「ネットワーク監視」機能
ネットワークに関する情報収集/早期障害発見を支援します。
(3) 「ジョブ管理」機能
複数の環境にある複数のサーバに対して、設定時刻/イベントをトリガーとして、特定の処理を実行させる機能です。定型処理の自動化を支援します。
(4) その他機能
「変更管理」「問題管理」「インシデント管理」などの機能を備えるツールもあります。他のツール/製品と連携できる仕組みを備えたツールも多くあります。
マルチクラウド対応統合管理ツール紹介
マルチクラウドに対応する統合管理ツールは、非常に多くの種類があります。その中から、代表的な2つのツールについて紹介します。
Hinemos
(1) 概要
Hinemosとは、複数のコンピュータ群を単一のコンピュータのようなイメージで管理することを可能とする、日本生まれのオープンソース統合運用管理ツールです。
(2) 特徴
ユーザが運用目的ごとにコンピュータをグループ単位で登録できます。階層化も可能です。それぞれのグループに対して、リポジトリ管理、監視管理、ジョブ管理、性能管理、環境構築を行う機能を備えています。
「多数の管理対象を効率的かつ統合的に管理するツール」をオープンソースソフトウェアとして実現したことが最大の特徴となっています。
オープンソースであるため、多額のライセンス費用は不要で、商用ツールに匹敵する統合管理を安価で実現できます。
JP1
(1) 概要
日立システムズが開発/発売を行っている商用の統合管理ツールです。
企業のITシステムの稼働監視、業務自動化、IT資産管理、インフラ管理などを統合的に行う、ITシステム運用管理ソフトウェアです。
(2) 特徴
オートメーション:各種プロセス/サービス/ジョブの起動順序を定義して、ジョブ管理システムとして使用できます。
モニタリング:システム/サービスの稼働状況を監視して、イベント情報を集約/管理することで、集中監視を行い、障害発生の予兆を見通します。
コンプライアンス:各種操作権限についてユーザ単位で詳細な設定を行えます。セキュリティ強化や環境管理の効率化が可能です。
まとめ
今回は、マルチクラウドに対応する代表的な統合管理ツールを2つ紹介しました。その他にも、非常に多くの同様なツールが存在しています。
オンプレミスからマルチクラウド環境(ハイブリッドクラウド環境)への移行は、今後、ますます進むと見られています。
性能、セキュリティ、使いやすさ、価格などについて、システム要件に適合するベストな統合管理ツールを導入し、運用コストを抑え、運用レベルを向上させていくことが重要なポイントになります。