展開されている場所にかかわらず、SQL Server は可用性の高い保護を必要とするビジネスクリティカルなアプリケーションです。クラウドでは、クラウドインスタンスまたはクラウドプロバイダーで障害が発生した場合、SQL Server をダウンタイムから保護する必要があります。しかし、共有ストレージクラスターのような従来のソリューションは実用的ではなく、クラウドでは適用できない場合もあります。
本稿では、企業が実際に、共有ストレージの制限を受けることなく、「SANLess」 クラスターの柔軟性を活用してクラウド内の SQL Serverの高い可用性と災害復旧保護を実現する方法をご紹介します。
1.クラウドにおける Windows Serverフェールオーバー クラスタリング(WSFC)の使用
課題
多くのクラウドプロバイダーで、冗長化され独立しているデータセンターやコンピューティングリソースを複数使用できますが、共有ストレージ(SAN など)は提供していません。共有ストレージは、マイクロソフトWindows Server純正のクラスタリング機能である、Windows Server フェールオーバー クラスタリング(WSFC)機能をサポートするには、これらコンピューティングリソース全体で必要となるものです。
ソリューション
SAN の代わりに 「SANLess」 ソフトウェアを使用すると、WSFC を使用して高可用性クラスターを構築できます。冗長化された SQL Server のアプリケーションインスタンスは、別々のクラウドコンピューティングリソースで構成できます。障害が発生した場合、WSFC は SQL Server アプリケーションのフェールオーバーを調整し、クラウド内の2次リソースで再起動します。
主な機能
クラウド展開のWSFC環境に 「SANLess」 ソフトウェアを構成要素として追加するだけで、共有ストレージは不要になります。ソフトウェアは、SAN の代わりにリアルタイムのブロックレベルのレプリケーションを使用して、すべてのノードのストレージを同期(一致)させています。ノードは、災害復旧保護のために別々のクラウドエリアに配置できます。WSFC は、ストレージを従来の SAN として認識します。
メリット
- クラウドにおける高い可用性:共有ストレージが利用不可または現実的ではない環境で、SQL Server をダウンタイムから保護します。
- 迅速な展開:構成ウィザードを使用すると、SQL Server クラスターを素早く簡単に、すべて展開できます。
- スムーズ:標準クラスターのように、クラウド内にWSFC環境を展開して管理できます。煩雑な手順の追加や、新たな学習は不要です。
まとめ
Windows Server フェールオーバークラスターを引き続き使用しながら、SQL Server Enterprise Edition をクラウド内の高可用性環境に迅速かつ容易に展開します。
ケーススタディ
WSFC を使用した 「SANLess 」クラスターで AWS EC2 の「クラウドファースト」 IT インフラを保護
課題 ガリバーインターナショナルは、東京を拠点とする中古車販売企業です。同社は今後4年間で、世界中の拠点を420拠点から1600拠点に拡大する計画です。この急速な成長に会社のITインフラを確実に対応させるには、AWS EC2 に移行する必要があります。AWS の重要なアプリケーションに対して HA 保護を提供することは、拡張計画の成功に不可欠でした。同社のIT マネージャーである月島学氏は、次のように述べています。「効率的で導入が容易な高可用性ソリューションがなければ、アプリケーションをクラウドに移行することは考えなかっただろうと思います。」 ソリューション |
2.低コストの SQL Server Standard Edition によるAWS クラウドでの高可用性と災害復旧
課題
クラウド上で SQL Server の高可用性と災害保護を提供するには、地理的に離れた場所にある冗長化されたアプリケーションインスタンスを使用してフェールオーバークラスターを構成することが必要な場合があります。AWS クラウドでは、各アベイラビリティゾーンを異なる IP ネットワーク(サブネット)で設定できます。
ただし、従来のクラスター環境で複数のサブネット間のフェールオーバーをサポートするには、 SQL Server Enterprise Edition を購入する必要があります。
また、SQL Server Enterprise Editionは、この構成では単純な2ノード展開ではコストがかかる可能性があります。
ソリューション
このような場合、「SANLess」 ソフトウェアを使用することにより、費用効率の高い SQL Server Standard Edition を使用して AWSクラウドのサブネット間で高可用性フェールオーバーを実現できます。
主な機能
WSFC の代わりに 「SANLess」 ソフトウェアを使用してクラスターを構築すると、異なるサブネット内の AWS アベイラビリティゾーンやAzure障害ドメインなどの複数のクラウド領域で SQL Server Standard Edition のフェールオーバーを有効にできます。
メリット
- 経費削減:「SANLess」 クラスターは、複数のサブネットにわたる2ノードクラスターのSQL Server Standard Edition に対して高可用性保護を提供します。高価な SQL Enterprise Edition を購入する必要はありません。
- アプリケーション環境全体の保護: 「SANLess」 クラスタリングソフトウェアは、アプリケーション、データベースおよびネットワークを含むアプリケーション環境全体を監視し、待機系サーバーへのフェールオーバーを管理します。
- 柔軟性:物理、仮想およびパブリッククラウドとプライベートクラウド両方のどの組み合わせにおいても、SQLに対する高可用性と災害復旧保護を提供します。
まとめ
高可用性と災害復旧保護ならびに SQL Server Standard Edition の値ごろ感を求める企業にとって最適です。
ケーススタディ
SQL Enterprise Editionの費用負担のない高可用性と災害復旧保護
課題 ソリューション |
3.災害復旧用クラウドへのクラスタの拡張
SQL アプリケーションの高可用性と災害復旧保護を実現するため、長年にわたって Windows Serverフェールオーバー クラスタリング(WSFC)が従来のオンサイト環境で使用されてきました。最近まで、サイトの障害を管理する作業は非常に複雑で費用がかかり、特殊なハードウェアやソフトウェア、そして2次データセンター拠点の可用性に対する多額の投資が必要でした。
クラウドはクラスターメンバーを配置し、ローカルサイトで障害が発生した際にフェールオーバーを処理するために、魅力的で費用効率の高い2次サイトを提供します。
ただし、クラスターではローカルおよびクラウドリソース全体のすべてのクラスターメンバー間で共有 SAN が必要なため、これは従来のクラスターの実用的な代替手段とはなりません。
このような場合、「SANLess 」クラスターソフトウェアを使用すると、ローカルおよびクラウドリソースに高可用性を提供するクラスターを作成することができます。
主な機能
自社運用の SAN ベースまたは SQL Server Standard Edition 用の「SANLess」 クラスターを、リモートの復旧サイトの費用や SQL Server Enterprise Edition のライセンス費用なしで、災害復旧保護用クラウドに拡張します。
メリット
- 災害復旧保護:自社運用の SQL サーバー環境からクラウド内のノードへのフェールオーバーにより、簡単かつ効率的な災害復旧保護が可能です。
- アプリケーション環境全体の保護:SIOSソフトウェアは、アプリケーション、データベース、ネットワークなどのアプリケーション環境全体を監視します。
- 柔軟性:サービスを中断することなく、既存の物理、仮想またはクラウド環境に災害復旧保護を追加することができます。SAN および「SANLess」 環境をニーズに合わせて組み合わせることが可能です。
- 高い費用効率:災害復旧サイトのコストをかけずに DR を実現します。
まとめ
物理、プライベートクラウドまたは自社運用の VM 環境を継続的に管理している企業にとって、簡単で費用効率の高い高可用性および災害復旧ソリューションです。
ケーススタディ
災害復旧用クラウドへの容易なフェールオーバー
課題 ソリューション |