米国でみた、クラウド移行における、よくある6つの課題

    寄稿:米国サイオス カスタマーエクスペリエンス担当ソフトウェアエンジニア、Harrison Howell
    ※この記事は翻訳されたものです。本記事の原文はこちら

    SIOSのカスタマーエクスペリエンスのソフトウェアエンジニアとして私、Harrison Howellは度々オンプレミスの高可用性クラスタリング環境をクラウドに移行する企業をサポートしている。

    クラウド移行はプロセスであり、目的ではない。クラウドへの移行を検討している顧客の場合、計画の段階ですでに遅延することが多い。これは良いことではないが、クラウド移行においては珍しいことでもない。以下は、我々がよく目にする、クラウド移行における6つの課題である。

    1.時間 – クラウドへのデータ転送にかかる時間を把握する

    データをオンプレミスからクラウドに移行するのに、どれくらい時間がかかるだろうか? これはアプリケーション、データの種類、クラウドプロバイダーによって、大幅に異なる。見落とされがちなのは、プライマリーノードからセカンダリーノード、そして場合によっては災害復旧(DR)サイトへのデータの同期に要する時間だ。再同期時間を考慮していない顧客は、データがレプリケートされる間、何もできずにただ待つしかない

      

    2.コスト – クラウド内でのデータ転送にかかるコストを理解する

    クラウドリージョン内のデータ転送は無料だが、リージョン間のデータ転送には費用が発生する。一般的なアーキテクチャでは、プライマリーノードとセカンダリーノードがリージョン内の別々のクラウド可用性ゾーンに配置されている。DRサイトを導入した場合、DRサイトは常に別のリージョンにあるため、コストが大幅に増加する。SAP NetWeaverのようなデータ量の多いアプリケーションの災害復旧では、リージョンをまたいでのレプリケーションはコスト的に不可能になる場合がある。

    3.リージョン間でのレプリケーション

    リージョン間レプリケーションには、レプリケーションタイプという別の課題がある。AZ内のレプリケーションを非同期にするか同期にするかは、顧客のRTOおよびRPO要件によって決まる。データレプリケーションでは、インスタンスのサイズに関係なく、リージョンをまたぐ場合にレイテンシー(遅延)が発生する。

    SIOSは、このようなレイテンシーの影響を減らすために、リージョン間の非同期レプリケーションを推奨している。Concurrency LabsがEC2リージョン間のレイテンシーに関する洞察に富む情報を提供しているので、参考にされたい。

    4.クラウド構成における想定外の動作

    既製のOSイメージをクラウドからデプロイすることができるが、この利便性には代償が伴い、構成管理に別の注意事項が加わることになる。クラウド用に最適化されたSuSE Enterprise Linuxイメージに含まれているcloud-initサービスが、ユーザー定義の仮想IPアドレスを削除してしまう可能性が生じるのだ。仮想IPアドレスが2分ごとに消えてしまうことほど、PoCの妨げになるものはないだろう。

    5.クラウドのセキュリティ

    クラウド・コンピューティングはその規模の大きさにより、企業がオンプレミスのデータセンターを利用するよりも高いセキュリティを提供し、クラウドのワークロードは、知らず知らずのうちに最先端のセキュリティを活用している。

    たとえば、Amazon EC2インスタンスは、デフォルトではインスタンス自体によって送信されないトラフィック、またはインスタンス自体に送信されないトラフィックをブロックする。これは、クラウド内のネットワークを保護するための優れた機能である。システムでネットワークアドレス変換(NAT)が必要な場合、EC2のデフォルトのセキュリティ対策では、IPアドレス変換は失敗するが、コンソールからの送信元/宛先チェックを無効にすると、問題は解決する。ユーザーがどの程度AWSに精通しているかによって、これは数回のクリックで済む場合もあれば、何度もサポートコールに問い合わせる必要がある場合もある。システムが環境内でどのように相互作用するかについて詳しく理解することは、クラウド移行を成功させるための鍵となるのだ。

    6.クラウドのユーザー受け入れテスト(UAT)

    オンプレミスシステムを利用している顧客は、リソースがもはや制限要因ではないことを再認識する必要がある。クラウドでは、システムを簡単にコピーして、本番環境から切り離して実行することができるが、これはオンプレミスでは簡単なことではない。ITリソースへのオンデマンドアクセスにより、HAとDRのユーザー受け入れテスト(UAT)は「プライマリーノードのシャットダウン」以上のものに拡大することができる。ネットワークが妨害されたり、カーネルパニックに陥ったり、さらにはデータベースが破損したりしても、本番環境に影響はない。このようなシナリオを明確化してテストすることで、高可用性と災害復旧対策の取り組みを改善できる。

     

    クラウド移行を成功させるためには、すべての関係者からの情報提供が必要である。可用性と災害復旧は、企業の業務の中で中核的な要素だ。現在のシステムですでにSIOS製品を利用している場合も、今後のクラウド移行の一部として導入する予定である場合も、ぜひ当社に相談してほしい。

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