LifeKeeper for Linuxで共有ストレージを使う場合の選択肢3つ

    こんにちはLifeKeeper製品のプリセールスを担当しております宇野です。

    今年は皆様も色々と大変な年になったと思います。サイオステクノロジーも全社員リモートワークへと切り替わりました。そのため今回はオフィスではない空間でのブログの執筆です。いつもと違った雰囲気をお届けできればと考えております。

    さて昨年 「Any storage 計画」というタイトルのブログ記事を掲載しましたが、やや技術的な内容が多くご理解いただけない部分も多かったのでは?と反省しています。

    また、新しいIOフェンシング機能である、「VMDK ARK」をv9.4.1(2020年1月)でリリースしましたので、改めてLifeKeeperで利用可能な共有ストレージについて整理させて頂きます。

    IOフェンシング

    まず、LifeKeeper for Linuxをオンプレの共有ストレージ環境で利用するには、IOフェンシングという機能を備えている機器である必要があります。IOフェンシングとは、稼働系と待機系の両ノードからの同時アクセスを防止する機能で、これにより共有ストレージにあるデータを同時にアクセスすることによる、データの破損を防ぎます。

    LifeKeeper for Linuxで利用可能な共有ストレージ

    このIOフェンシング機能により安全にHAクラスタを運用頂くべく、LifeKeeper for Linuxでは以下3つの選択肢を提供しております。

      1. LifeKeeperサポートストレージを採用し、SCSI Reservationを利用する
      2. LifeKeeperサポートストレージ以外を採用し、Quorum/Witnessを利用する
      3. VMware vSphereがサポートするストレージを採用し、VMDK ARK(*1)を使用する

    *1 VMDK ARKはVMDKによる共有ストレージ機能をLifeKeeperで制御する専用スクリプトです。

    選択肢1のSCSI Reservation機能は、その利用可否がストレージの機種に依存します。よって、この動作を確認できたストレージをサポートストレージ一欄(v9.5.0版)として公開し、利用を推奨してきました。この点は今後も変わりません。

    一方で選択肢2、3は、ストレージ機種に依存しないIOフェンシング機能である、Quorum/Witness や VMDK ARKを活用した方法であり、サポートストレージでなくてもLifeKeeper for Linuxを利用頂ける選択肢となっています。

     2019年10月より選択肢2が強化され、2020年1月より選択肢3が加わり、採用可能なストレージの種類が大幅に広がりました

    なお、この1と2の選択肢を提供することで、理論上どんなストレージでもLifeKeeper for Linuxを利用できるということから、利用できるストレージは「Any Storage」であると宣伝させていただいております。よって、本記事もLifeKeeper for Linuxの共有ストレージ構成における選択肢を、より多くのパートナー様・お客様にお伝えしていく目的で執筆しております。

    各選択肢の違いを下表にまとめてみました。

    IOフェンシングに関連したよくある質問

    なお、以下はIOフェンシング機能に関連してよく聞かれる点ですので、ご紹介いたします。

    • どの選択肢が最も人気なのか?
      SCSI Reservationは、LifeKeeper for LinuxのIOフェンシング機能として、古くから提供し実績は最も多いです。ただ、最近では幅広いプラットフォームで利用可能なQuorum/Witnessの機能の利用が進んでいます。
       
    • Quorum/Witnessはクラスタノード以外のノードが必要となるのか?
      Quorum/Witness自体は、LifeKeeper for Linux v7.2以降提供しております。Witness Serverとして3台目のノードが必要でしたが、v9.3からはStorageモードが加わり、2ノードでも実現可能となっています。
       
    • どの選択肢が技術的な堅牢性に優れているか
      LifeKeeper for Linuxは、クラスターファイルシステムをサポートしていないため、共有ディスクに対するマルチアクセスを制限する機能が設けられています。
      Quorum/Witnessは、ファイルシステムと同等のレイヤーでのアクセス制限となります。一方でSCSI ReservationとVMDK ARKは、ファイルシステムより低レイヤーでのアクセス制限を行いますのでアクセス制限がより堅牢です。

    それでは、実際に利用する際、どの選択肢が良いのでしょうか。答えは利用するプラットフォームやストレージによって選択していただければ問題ありません。

    従来、サポートストレージ一覧への掲載がない製品をご提案・ご導入したいケースでは、サポートストレージに加わることを待つしかありませんでした。今後は、プラットフォームを選ばない、Quorum/WitnessやVMDK ARKを採用することでサポートストレージでなくても採用いただけます。不明な点がございましたら、ぜひご相談いただければ幸いです。

    補足:Multipath ARKとの関係について

    1点補足いたします。

    まれにSCSI Reservation以外のIOフェンシング機能を選択した場合、Multipath ARKは必要なのか、と質問を頂くことがあります。Multipathというのはストレージとサーバーを接続するインターフェイスを複数用意した冗長構成を指します。OSからは複数のpathを1経路として認識させることで、ケーブル障害が発生してもストレージへのアクセスが止まらないようにする役割があります。

    LifeKeeperではDMMP, PowerPath, SDD, HDLM, NEC SPSといったマルチパスドライバーに対応したARKを提供しています。なおこれらのマルチパスドライバーは物理構成で利用される為、仮想環境(*2)やクラウド環境では利用しません。

    Multipath ARKはIOフェンシング機能が変わっても、対象のマルチパスドライバーを利用している場合はARKが必要となります。対象のマルチパスドライバーを利用していない場合は、どのIOフェンシング機能にかかわらずARKは不要です。もし見積・構成で迷うことがございましたら、気軽にお問い合わせください。

    *2 例外となりますが、仮想環境のVMはVMwareを経由せずにiSCSI ストレージを直接ターゲットとして接続した場合、マルチパス構成を組むことが可能です。この場合はMultipath ARKが必要となります。

    今回の記事に関するお問合せについてはこちら

     

    SNSでもご購読できます。