クラウド移行を事前アセスメントで最適化~SQL Serverのサポート終了で急浮上するAzure移行対策の必要性~

    オンプレミスで実現していたシステムをクラウドに移行するタイミングは、さまざまなきっかけでやってくる。コスト削減やシステムのスケーラビリティの確保、BCP(事業継続計画)対策などからクラウドへの移行を検討することは少なくない。

    また、利用しているOSやアプリケーションのサポート終了に対応するために、クラウドに移行する選択肢を採ることもある。直近では、マイクロソフトのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の「Microsoft SQL Server 2008」「同 2008 R2」(以下、SQL Server)が、サポート終了(EOS、End of Support)に直面する。その際に既存システムの延命を、クラウドへの移行で実現できるというわけだ。

    今回は、JBCCでプラットフォーム・ソリューション事業部 ソリューショ技術本部の本部長を務める大島貴幸氏とサイオステクノロジー第1事業部 BC事業企画部グループマネージャーの石坂孝氏に、クラウド移行時の課題についてお話を伺った。

    Azureへの移行でサポートを3年間延長

    SQL Serverのサポート終了と、クラウドへの移行の関係を簡単に説明していこう。SQL Serverは2019年7月にサポート終了を迎え、その後のセキュリティアップデートができなくなる。そのまま運用するとサイバー攻撃を受けるリスクが急速に高まってしまう。一方で、SQL Serverで運用していたシステムは、システムの変更をすることなくマイクロソフトのクラウドサービス「Azure」にホスティングを実行できる。さらに追加料金なしでセキュリティアップデートを3年間延長して受けられるというものだ。Azureに移行することで、現行のSQL Serverで稼働しているシステムに手を加えることなく、セキュリティを保ちながら今後の対策を考える3年間の猶予が生まれるのである。

    しかしAzureへの移行に際しては、少し注意が必要になる。それは、Azureが共有ディスク(SAN)をサポートしていないことが要因だ。既存システムでWindows Server フェールオーバー クラスター(WSFC)と共有ディスクを使って、高可用性(HA)構成を採っている場合に問題が生じる。こうしたケースでは、Azureに移行した後でHA構成を維持するには、ストレージのレプリケーション対策が必要になる。

    サイオステクノロジー株式会社第1事業部 BC事業企画部グループマネージャー 石坂孝氏
    サイオステクノロジー株式会社
    第1事業部 BC事業企画部
    グループマネージャー 石坂孝氏

    サイオステクノロジーの石坂氏は、「サイオステクノロジーでは、この課題に「SANLess Clusters」と呼ぶソリューションで対応しています。「SANLess Clusters」は、WSFC+共有ディスクの形態で利用していた共有ディスクの部分を、ローカルストレージ同士で常時レプリケーションを実現する「DataKeeper Cluster Edition」に置き換えて利用できるものです。このソリューションを使えば、WSFCからは共有ディスクを使っているように見えながら、AzureにHA構成を保ったままシステムを移行できるというわけです。」と語る。 

     

     

     

    御社のオンプレの環境はAzureに移行できるのか?

    とは言え、実際にオンプレミスからAzureに移行する前には、移行のためのアセスメント(評価)が必要になる。リソースは適切に移行できるか、アプリケーションやデータベース、ミドルウエアなどはAzure上で正しく稼働するか、ライセンスに問題はないか。こうした事前のアセスメントを行うことで、最適なAzureへの移行が実現できる。逆に言うと、事前のアセスメントなしにAzureに移行した場合、リソースの過不足があるだけでなく、システムが正しく動かなかったり、ライセンス違反を起こしたりする事態を避けにくい。システムの構成要素は多岐にわたり、情報システム部の担当者であっても、ミドルウエアのライセンス契約まで把握することは現実的ではないからだ。

    JBCC株式会社 プラットフォーム・ソリューション事業部 ソリューショ技術本部 本部長 大島貴幸氏
    JBCC株式会社
    プラットフォーム・ソリューション事業部
    ソリューショ技術本部 本部長 大島貴幸氏

    そうしたAzureへのマイグレーションを支援するパスとして、マイクロソフトはオンプレミスの仮想マシン(VM)を簡単に検出、評価する「Azure Migrate」サービスを提供している。しかし、この評価をユーザー企業が単独で実施するのは難しい。そこで役立つのが、情報ソリューション事業を展開するJBCCのAzure Migrateの支援サービスである。同社は、Azure Migrate実施の支援とその解説、さらに適切な環境の提案をアセスメントレポートとしてまとめて提供し、アセスメントの実施を支援する。JBCCの大島氏は「アセスメントレポートには、Azureへの移行の可否や、Azure上で必要とされるVMのサイズ、移行後のコストなどがわかりやすく記載され、最適なAzureへの移行を支援します」と語る。

    実際、オンプレミスで仮想環境を実現しているユーザーの多くは、リスク軽減のためにハードウエアリソースに余裕を見た設計をしていることが多いという。だがAzureではスケーラビリティがあるため、余剰なリソースを持ったままの設計で移行すると大きな無駄が生じる。「クラウドは高いと言われますが、従量課金なのでアセスメントで最適化すればコストを抑えて運用することも可能です」(大島氏)。逆にアセスメントすることで、Azureへの移行でリソース不足を指摘されることもある。いずれにしても、最適化したAzureへの移行が可能になるのである。

    アセスメントレポートを見ると、その内容がわかりやすいことがよくわかる。JBCC社内のサーバー環境でアセスメントを実施したレポートでは、249台の仮想マシンのうち、そのまま移行可能なものが80台、167台は移行に条件が必要なことがわかる。また、既存の割当ベースからパフォーマンスベースへとサイジングを行うことで、月間約50万円のコスト削減になることも見えてくる。Azureへの移行の条件とコスト削減効果がアセスメントレポートによって可視化されるのである。

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    そうした基本的なAzure移行の最適化に加えて、クラスタリングしているシステムをAzureに移行するときには、サイオステクノロジーのSANLess Clustersを利用してHA構成を維持するためのアセスメントも実施できる。適切なコストで、信頼性の高いシステムを確実にAzureに移行して運用することを支援してくれるのである。このような支援体制があれば、SQL Serverのサポート終了がすでに半年近く後に迫ってきている現状からであっても、安心してAzureに移行することができる。こうした策の組み合わせでSQL Serverのサポートを延長し、延長した3年を使ってその後の対応をじっくり考えることができるというわけだ。

     

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