クラスター入門(3)- 失敗しないHAクラスター製品の選び方

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 Windows Server Failover Clustering(WSFC)やRed Hat Cluster SuiteなどOSの標準機能から、商用パッケージ、オープンソースソフトウェア(OSS)まで、さまざまなHAクラスターソフトウェアがあります。その中から代表的なソフトウェアを紹介するとともに、失敗しない製品選定のポイントについても解説します。

OS、商用、OSS、さまざまなHAクラスターソフトウェア

 まず、OSの標準機能として提供されているHAクラスターソフトウェアを紹介します。

  • Windows Server Failover Clustering (WSFC)(Microsoft)
    Exchange Server、Hyper-V、SQL Server、ファイルサーバーなど、Windows環境のワークロードに対する高い可用性とスケーラビリティを実現します。また。最大64ノードおよび最大8000台の仮想マシンに拡張可能なHAクラスターも実現できます。Windows Server 2003 R2までは、Microsoft Cluster Service(MSCS)と呼ばれていました。
  • Red Hat Cluster Suite(Red Hat)
    パフォーマンス、ハイアベイラビリティ、ロードバランシング、拡張性、ファイル共有、経済性など、ニーズに応じて、さまざまな設定で導入できるソフトウェアコンポーネントの統合セットです。Red Hat Enterprise Linuxに最適化されており、サポートとともに提供されます。

 次に、商用パッケージとして提供されているHAクラスターソフトウェアを紹介します。

  • CLUSTERPRO(NEC)
    システムを監視し、障害が発生した場合には、別のサーバーに処理を引き継ぐことで、高い可用性を実現します。Windows環境、Linux環境、UNIX環境に対応。データベースの障害対策や仮想化環境の障害対策、計画停電/災害対策などの分野で効果を発揮します。
  • DNCWARE ClusterPerfect(東芝)
    電力、通信、金融など、高い信頼性が求められる社会インフラにも数多く導入された実績があります。Windows環境、Linux環境、UNIX環境に対応し、共有ディスクを持たない2ノードのHAクラスターからハイエンドサーバーやSANを用いた大規模クラスターまで拡張可能です。
  • LifeKeeper / DataKeeper(サイオステクノロジー)
    Windows環境、Linux環境におけるミッションクリティカルなシステムの高可用性を実現します。オプション製品である「Application Recovery Kit」を使用すれば、スクリプト等の開発無しに、GUI上でのクラスター環境構築が可能です。最新版では、クラスターシステムを構築する際の“容易性”を追求した「Quick Service Protection」機能と、外部システムからLifeKeeperの状態を参照できるAPI「LifeKeeper APIs」が提供されています。
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  • PRIMECLUSTER(富士通)
    サーバー、ストレージ、ネットワークなどのシステム構成要素の冗長化、迅速な異常検出、業務の引継ぎ(フェイルオーバー)、異常箇所の縮退などに自動的に対応。富士通のプラットフォームコンセプト「TRIOLE」の基本概念である「仮想」「自律」「統合」に基づき、システム全体の高信頼化を実現します。

 最後に、OSSで提供されているHAクラスターソフトウェアを紹介します。

  • Pacemaker(OSS)
    OSSとして開発されている、HAクラスターソフトです。アプリケーション監視・制御機能、ネットワーク監視・制御機能 、ノード監視機能、自己監視機能 、ディスク監視・制御機能 の5つの機能により、サーバーで発生するほとんどの故障に対応できます。「Heartbeat」という名称で開発されていたソフトウェアの後継にあたります。

HAクラスターソフトウェアの選定ポイント

 さて、代表的なHAクラスターソフトウェアを紹介しました。HAクラスターソフトウェアの選定には、いくつかのポイントがあります。今回は、以下のポイントについて紹介します。

・サポートOS
・適用シーン
・サービスレベル
・対応アプリケーション
・総保有コスト(TCO)

 まずは、導入を検討しているHAクラスターソフトウェア製品が、どのようなOSに対応しているかを確認しておくことが必要です。クラスター化したいシステムの環境が、Windows Serverだけで構成されていればWSFCが、Red Hat LinuxだけであればRed Hat Cluster Suiteが選択する際の第一候補となりますが、複数のOSが混在するサーバー環境であれば、マルチOS対応のソフトウェアを選定する必要があります。

 また、適用シーンとして、クラスター化したいシステムの環境が、物理サーバーだけなのか、仮想サーバーやクラウド環境も含むのかで、選択するべきHAクラスターソフトウェア製品も変化します。さらに、必要とするサービスレベルが、一般的な99~99.5%の可用性でよいのか、99.99%の可用性が必要なのか、それ以上なのかも考慮しなければなりません。

 そのほかにも、メール、ウェブ、データベース、ファイルサーバー、アプリケーションサーバー、運用・監視、グループウェア、データ連携など、対象となるアプリケーションを、検討しているHAクラスターソフトウェア製品がサポートしているかどうかを確認することも必要です。

 上記以外にも検討すべき条件はありますが、条件に応じて導入から運用・保守までのコストが変化することにも注意が必要です。例えば、OSSを選んだ場合、初期導入コストはかかりませんが、すべてのサポートを自分で行わなければなりません。また、必要なサービスレベルが上がれば、その分コストも増加します。

 今回は、HAクラスターソフトウェア製品と選定のポイントについて紹介しました。次回は、「知っておきたいクラスター基礎用語」について紹介します。

>第4回 知っておきたいクラスター基礎用語 を読む

 

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