「Pacemaker」+「Booth」を利用したクラスタシステム構築

    Pacemakerの「Boothアドオン」について紹介します。Boothを利用することで、より信頼性の高い遠隔地マルチクラスタ環境を構築できます。

    「Pacemaker」とは

    「Pacemaker」(旧名:Heartbeat)とは、オープンソースソフトウェアとして開発されているHAクラスタソフトです。

    Pacemakerは、複数のコンピュータをネットワークで接続連携させ、故障を検知したら他のコンピュータに処理を移動させる「フェイルオーバー」などを行うことで高可用性を実現します。

    Linux-HAも採用しており、信頼性が高く、高い評価を得ているクラスタソフトウェアです。

     

    Pacemakerの「Boothアドオン」とは

    概要

    PACEMAKERのチケット管理概念

    Pacemakerには、チケットの授与/取り消しを行うコンポーネントとして「CTR(Cluster Ticket Registry)」という概念があります。

    1つのサイトにチケットを付与することで、リソース実行権限を与える仕組みです。

    「BOOTH」とは

    CTRを実現するために、別途アドオンとして用意されている実装プログラムが「Booth」です。

    Boothを利用することで、地理的に分散した場所にあるクラスタサイトに対するチケット管理を実行でき、地理的に離れているHAクラスタ環境でのクラスタリングサポートが容易となり、自動フェイルオーバーが可能になります。

    BoothによりWAN環境もサポート可能に

    PACEMAKERはLAN環境が前提

    Pacemakerは、基本的に、LAN環境上で使用することが前提になっており、WAN環境などの遠距離での使用は想定されていません。

    BOOTHによりWAN環境にも対応

    Boothによるチケット管理機能で上記の制約に対処できるようになり、WAN環境にも対応できます。

     

    「スプリットブレイン問題」とは

    「スプリットブレイン」とは、クラスタが複数のサイトにまたがる場合、サイト間のネットワーク接続障害などにより「別サイトのノードは正常に機能しているか?」について判断できなくなる状態です。

    スプリットブレインは、高可用性サービスを提供する場合の大きな障害となります。

     

    Boothアービトレータ(調停役)によるチケット管理の自動化

    BOOTHを利用しない場合

    「サイトA(アクティブ)」+「サイトB(スタンバイ)」で構成されているマルチサイトクラスタにおいて障害が発生した場合、「どちらのサイトが生き残っているのか?」の判断は人間が行う必要があります。

    BOOTHを利用する場合

    「サイトA(アクティブ)」+「サイトB(スタンバイ)」に加えて、「アービトレータ(調停役)」というもう1つのサイトを増設する必要があります。

    サイトAに障害が発生した場合、アービトレータは、サイトBをアクティブ化可能であることを確認し、サイトBにチケットを付与し、サイトBをアクティブにすることで、サービスを継続させます。

    Boothのアービトレータ(調停役)により、人間の判断なしで、チケット管理を自動化でき、遠隔地マルチサイト環境での自動フェイルオーバーが可能になります。

     

    まとめ

    クラスタソリューション「Pacemaker」+チケット管理アドオン「Booth」により、Pacemaker単体よりも、より信頼性の高いクラスタ環境を構築できます。

    弊社にご連絡をいただければ、「Pacemaker」+「Booth」+「各種オープンソース製品」を組み合わせたHAクラスタ環境構築についてのご提案も行えます。まずは、お気軽にお問い合わせください。

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    参考元サイト

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