仮想環境やコンテナ環境にストレージを提供する、ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)として注目が集まるLINSTOR、先日開催されたLINBIT社主催のオンラインイベントLINSTOR DAYSで紹介されたLINSTORの概要と製品ロードマップについて紹介します。
LINSTORの概要
OSSのデータレプリケーションソフトとしてDRBDが有名です。
その開発会社はオーストリアにあるLINBIT社です。LINBITは2000年頃からDRBDの開発を始めました。
DRBDは高可用性(HA)システムの基盤として、世界中のいろいろなシステムで利用されています。
当初はローカルLANで接続された2台のサーバ間でのレプリケーションしかできないDRBDでしたが、2008年頃には地理的に離れた場所にあるサーバ間でもデータレプリケーションが可能になり、災害対策(DR)のシステムでも使えるようなりました。
そして最近では仮想環境やコンテナ環境にストレージを提供する、ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)としても利用が出来るようになりました。
DRBDの特徴としては特筆されることは軽快であることです。DRBDはカーネルの中で動作するため、きわめて高いパフォーマンスを発揮します。
またDRBDは一般的なハードウェアで利用可能なので、ベンダーロックインがない、手軽な価格でシステムを構築できます。
DRBDの利用形態の1つであるSDSはコンピュータに繋がったストレージをソフトウェアで管理して利用するものです。
ハードウェア製品では統合ストレージと呼ばれるものあり、たとえばEMCやNetAppなどベンダーが発売しているものが有名です。
LINBIT SDSを使うと、それらに匹敵するストレージ環境をLinuxサーバで作ることができます。
LINBIT SDSは複数のLinuxサーバを使ってSDSを構築しますが、これらのサーバをまとめて管理するのがLINSTORというアプリケーションの役目です。
LINSTORは各サーバのストレージを束ねて、ストレージプールを作って、その中からユーザーが必要とするサイズのストレージを切り出して、ブロックデバイスとしてユーザーに提供します。
ストレージはDRBDで冗長化することも可能で、ユーザーはDRBDが動いていることを意識せずにストレージを利用できます。
LINSTORはControllerとSatelliteの2つのプログラムで構成されます。
ControllerはSDSシステムの中核になるプログラムで、DBでSDSの構成情報を管理し、コマンドインタフェース(CLI)やAPIライブラリーからの命令を元に、Satelliteがインストールされたノードへ、ストレージ構成変更やDRBDなどの起動の指令を送ります。
Satelliteはストレージプールからストレージを切り出したり、DRBDでデータ冗長化します。
LINSTORはストレージの構成を変更するときにだけ動作するので、いったん、ストレージが使えるようになると、ストレージの動作にLINSTORは影響しません。
LINSTORは数千台のクラスターとノードあたり1500のブロックデバイスを管理することができます。
LINSTOR製品ロードマップ
LINSTOR現在も開発が続いており、下記の機能が追加される予定です。
スナップショップ機能(AWSのS3ストレージに対して)
Prometeusとの統合
STORKプラグイン(タイムアウトしたノードの再配置)
共有ストレージのサポート
NVMe-OFでのマルチパスサポート
とまだまだ開発が進んでいます。
仮想環境やコンテナ環境にストレージを提供する、ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)としてますます注目が集まりそうです。
イベント資料(英語)のダウンロードや動画のご視聴はLINSTOR DAYSのウェブサイトからどうぞ。
LINSTORはOSSベースの製品ですが、サイオステクノロジーでは商用でも安心してご利用いただく為にLINBITクラスタスタック・サポートを提供しております。